医薬品評価委員会 2020-26 治験薬の温度管理記録

関連分類:治験薬

初回公開年月:2020年10月

質問

実施医療機関で作成する、治験使用薬の温度管理の記録についてお教え下さい。

背景

実施医療機関からは手書きの治験使用薬の温度管理記録を提供いただいています。しかしながら、そちらは土曜、日曜日の温度の確認記録や1日の最高温度、最低温度の記載がなく、当該治験での治験使用薬温度管理記録の要件を満たしていないため、代わりの記録が必要になりました。代替記録としては、実施医療機関によりwebsite上で提供されている温度ロガーの元データを、CRAが専用のsoftwareで温度記録のグラフ(PDF)に変換したものを、TMFに保存したいと考えています。

しかしながら、元データは実施医療機関が提供しているものとはいえ、CRAが変換した温度管理記録を正式な記録としてみなすことができるのか、と社内で疑義が上がりました。理由としては、「監査や査察などで第3者がその記録を閲覧した際に、実施医療機関が提供していない温度管理記録(CRA側が変換したもの)を実施医療機関の温度記録だと理解してもらえないのではないか」という点です。一方、社内でもCRAが変換した温度管理記録を正式な記録として扱っている治験もあるため、判断に迷っています。

質問

  1. 1.
    CRAが変換した温度管理記録を正式な記録としてみなすことは可能でしょうか?
  2. 2.
    上記に問題がある場合、CRAが変換した温度管理記録を実施医療機関の治験薬管理者に確認いただいた上で、その記録に署名いただくことで、正式な記録としてみなすことは可能でしょうか?

製薬協見解

実施医療機関における治験使用薬の温度管理とその記録の作成は実施医療機関が責任を有しております。データの信頼性確保及び治験における適正な責任・役割分担の観点より、そこに治験依頼者側が直接関与することは望ましくありません。何らかの理由により、実施医療機関が作成した治験使用薬温度管理記録を治験依頼者が加工する必要があるのであれば、事前に加工手順とデータの保存方法を治験固有の手順書等で規定し、治験依頼者と実施医療機関(治験薬管理者)の両者で合意しておくべきと考えます。また、加工時にデータの変更が技術的に可能な場合には、データの信頼性を確保するための措置が必要と思われます。

なお、インターネットで利用できるソフトウェアには、提供者が動作を保証していない場合があります。治験におけるデータ加工に使用するソフトウェアはバリデートされたものである必要があり、且つ、それが後に説明可能なように記録を保存しておく必要があります。

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