医薬品評価委員会 2019-42 設置NPOの理事が治験調整医師である場合の治験審査委員会審査

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2019年12月

質問

NPO法人設置の治験審査委員会において、当該NPO法人の理事が治験調整医師であった場合、それは治験依頼者と密接な関係になると判断され、治験調整医師を務めている期間はその治験依頼者の全ての治験の審査はできないこととなりますでしょうか?

  1. 1)
    理事長であるため、治験審査委員会委員ではなく審議には参加しません。
  2. 2)
    当該NPO法人の職員は2名で治験審査委員会委員全体の1/5となっております。
  3. 3)
    過去の質問:2007-20の回答の中では「治験調整医師は…治験依頼者から委嘱される医師もしくは歯科医師と規定されています」とありますが、同時に「治験調整医師は医療機関側の立場であって、症例検討や採否決定という治験依頼者が実施すべき業務を行う立場ではありません」とも記載されています。

上記3点より、GCP第27条第2項第6号の「治験審査委員会の業務の公正かつ適正な遂行を損なうおそれ」は、ないように思われますが、今後、自動的にこのような事例は審査対象外とするのか、もしくは治験依頼者毎の見解確認とするのか、審議受託の際の確認事項に落とし込みたいためご教示下さい。

製薬協見解

GCP第27条第1項第3号において、実施医療機関の長が意見を聴くことができる治験審査委員会の一つとして、「特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人が設置した治験審査委員会」(いわゆるNPO設置の治験審査委員会)があげられていますが、当該治験審査委員会の設置者が満たすべき要件の一つとして、同条第2項第6号に「その他治験審査委員会の業務の公正かつ適正な遂行を損なうおそれがないこと」と規定されています。これについて、同条第2項ガイダンス5(1)及び(9)に以下のとおり示されています。

  • 治験審査委員会の設置者の役員に、当該治験審査委員会に調査審議の依頼を行う実施医療機関の長又は当該実施医療機関の治験責任医師、治験分担医師若しくは治験協力者又は当該治験審査委員会による調査審議の対象となる治験の治験依頼者の役員、職員その他の治験依頼者と密接な関係を有する者若しくは自ら治験を実施する者その他の自ら治験を実施する者と密接な関係を有する者を含んでいないこと。
  • 治験審査委員会の設置者の行う事業として、調査審議の対象となる治験に係る薬物の開発に関わっていないこと。

治験調整医師の業務は、特定の治験、特定の薬物の開発に関わる業務であるため、上記「その他治験審査委員会の業務の公正かつ適正な遂行を損なうおそれがないこと」に抵触し、治験審査委員会の設置者の役員(当該NPO法人の理事)が、当該業務を務めている期間は、本治験審査委員会は当該薬物に係る全ての治験について審査を行うべきではありません。しかしながら、この理由だけをもって、本治験審査委員会が当該治験依頼者の他の薬物に関する治験まで審査できないと考える必要はないものと思われます。

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