医薬品評価委員会 2017-51 署名済み同意文書原本の被験者への交付

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2017年12月
改訂公開年月:2021年03月

質問

質問番号2007-21「医療機関が作成した同意文書の使用」に関連した質問です。

治験審査委員会承認後、製本版が完成するまで、実施医療機関にて同意文書を印刷し、使用していました。しかし、同意文書を3部印刷し、それぞれに医師、説明補助者、被験者が署名し、各自(治験責任医師、治験事務局、被験者)が保持していました。つまり、被験者にも同意文書の写しではなく、原本を提供していました。

GCP第53条では「同意文書の写しを被験者に交付しなければならない。」とありますが、原本を3部作成し、被験者も原本を保持することはGCP違反となりますでしょうか?実施医療機関の見解としては、日付も同日、全て自筆であれば、必ずしも写しである必要はないとのことで、他試験においても同様の対応としているとのことです。GCP違反となる場合、何が問題となりますでしょうか?

製薬協見解

GCP第53条では、署名した同意文書の写しを被験者に交付しなければならないとされています。この規定の趣旨は、被験者自身が同意した内容をいつでも確認できるようにすることであると思われます。

したがって、ご質問の事例のように同意文書の製本が間に合わず致し方ない場合においては、写しではなく直接記名押印又は署名した同意文書を被験者へ交付することでも、この規定の趣旨に反することはなく問題ないと考えます。しかし、治験責任医師、治験事務局、被験者のそれぞれが保管する同意文書は、記載日も含め同一の内容である必要があります。また、同意文書には、被験者が説明を受けた説明文書の版数等が記載されており、被験者の同意が何に対してなされたものであるかが明確になっていることにも留意する必要があります。

見解改訂理由

GCP省令の一部改正(令和2年12月25日)により、記名押印を削除しました。

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