医薬品評価委員会 2016-41 開発中止に関する通知文書の提出

関連分類:記録の保存

初回公開年月:2016年12月

質問

ある治験において、「治験の中止」が決定され、実施医療機関「開発の中止等に関する報告書」(報告事項:当該治験の中止)を提出し、治験依頼者から当局へは治験中止届を提出しました。その後、数年が経過し、今度は当該治験で使用していた被験薬の「開発の中止」が決定され、治験依頼者から当局へ開発中止届を提出しました。

質問1

上記のケースにおいて、改めて治験依頼者から実施医療機関へ「開発の中止等に関する報告書」(報告事項:当該被験薬の開発を中止)を通知すべきでしょうか?

質問2

併せて、「開発の中止」を実施医療機関へ通知する目的についても、教えていただけますと幸いです。もし当該通知の目的が、記録の保存期間を明確にするためである場合は、最初の報告書の提出にて目的は達成しており、「開発の中止等に関する報告書」(報告事項:当該被験薬の開発を中止)を提出することは不要と考えられます(治験依頼者として過去に通知した保存期間を変更する必要が無い場合)。またICH-GCPにも「開発の中止」を実施医療機関に通知する旨の記載がありますが、J-GCPと同様の目的と考えて宜しいでしょうか。

製薬協見解

回答1

GCP第24条第3項に基づき、治験の中止とは別に被験薬の開発の中止について改めて治験依頼者から実施医療機関へ文書で通知する必要があります。

回答2

実施医療機関の長に任命された記録保存責任者は、以下の(1)または(2)のうちのいずれか遅い日までの期間、記録を保管しなければならないとされています(GCP第41条第2項ガイダンス1)。

  1. (1)
    当該被験薬の製造販売承認日(開発中止の通知を受けた場合、通知日から3年)
  2. (2)
    治験の中止若しくは終了から3年が経過した日

治験を中止した場合であっても、当該治験に関わる記録が治験の再開や、申請時資料の一部に使用される可能性があるため、その記録を必要とする期間を明確にすることができませんが、開発中止の決定により当該記録の必要性を明確にすることができるため上記の保存期間が規定されていると考えられます。したがって、治験中止の通知後、開発中止の通知を行わない場合、本規定の目的を果たせないことになると考えられますので注意が必要です。

なお、ICH-GCP5.5.12において、治験責任医師・実施医療機関へ記録の保存について文書で通知することが治験依頼者の責務として規定されています。

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