医薬品評価委員会 2015-27 原資料の直接閲覧における過去の治験参加時の診療情報の提示
関連分類:記録の保存
初回公開年月:2015年12月
質問
治験依頼者への情報提供で質問させていただきます。
以前に別の治験依頼者の治験に参加していた患者さんが、別の治験依頼者の治験に参加することになりました。その際に以前参加していた治験のデータやワークシートを見せてほしいとの依頼がございました(治験のみだけではなく市販後調査などのも全て)。
こちらとしては、守秘義務があるため見せられないとお断りしたのですが、適格性の確認のために見せてほしいと再度言われました。しかし、適格性の内容は、院内での検査で十分確認できる内容でしたのでそのように回答いたしました。
過去に参加していた治験や臨床研究のデータも見せる必要・義務はあるのでしょうか?
製薬協見解
ご質問は過去に実施した治験に関する実施医療機関としての守秘義務(GCP第13条第1項ガイダンス3(17)④)および治験依頼者への原資料の提示義務(同ガイダンス(14))をどのように考えるかの問題と思われます。
治験実施計画書、治験薬概要書、説明文書等に関する情報、治験薬の性状、調製法、用法用量、有効性および安全性のような治験に関わる情報(公知なものを除く)については、ご理解のとおり実施医療機関としての守秘義務が存在するものと考えられます。しかし、診療録やワークシートに記載されている情報は、治験行為により生じた結果を記録されたものであり、上記のような治験に関わる情報に関しては限定的な内容であることから、通常、治験依頼者の知的財産権が及ばないものと考えます。
したがいまして、診療録やワークシートに記載された過去の治験等のデータは当該治験依頼者による閲覧に供しても問題ないと考えますが、治験を実施する前に、当該治験の実施に必要となるデータについて原資料を特定し、閲覧対象として妥当な情報か否かを確認の上、その対応について治験依頼者と協議されることをお勧めします。