医薬品評価委員会 2015-04 被験者の募集の手順に関する資料の範囲

関連分類:被験者募集

初回公開年月:2015年07月

質問

GCP第32条(治験審査委員会の責務)に審査に基づく資料として「被験者の募集の手順に関する資料」が明記されており、当該資料の解釈と取扱いについて、下記の点を教えてください。

  1. 大規模広告等の募集業務の主体者が実施医療機関以外の場合(実施医療機関の名称や連絡先が掲載されない場合)であっても、実施医療機関の治験審査委員会(IRB)審査資料に該当しますか。また、該当する場合、その募集が既に行われている又は行われた場合であっても、改めて審査は必要でしょうか。
  2. 募集媒体として、ポスター、リーフレット(パンフレット)、Web広告とした場合、それらの設置場所(掲載施設や掲載先ホームページ等)は不特定であったり、変更することが多々あります。審査すべき「募集手順」とは患者が閲覧する「媒体とその内容」と捉えているため、設置場所について審査する必要はないと思いましたが、質問番号2014-43や2011-42では設置場所についても言及されておりました。実施医療機関の長が倫理的・社会的に問題となるような掲載場所ではないと判断した場合でも、全て審査が必要でしょうか。
  3. 実施医療機関の医師による新聞や雑誌等の記事は、募集の意図がなくても、「募集中であること」、「連絡先が記載されていること」の2点が含まれていれば、IRBにて審査するべき「募集手順」に該当するとの解釈でよろしいですか。
  4. 学会や講演会、呼びかけ等にて、医師に向けた募集中の治験情報提供については、「募集手順」に該当しますか。IRBにて倫理的に審査すべき「募集手順」とは患者がどのような内容の情報で参加に至ったかを指しており、その前駆段階の手順(紹介元の医師がどのように治験情報を知ったか)は「募集手順」に該当しないと考えていますがいかがでしょうか。

製薬協見解

治験審査委員会が、その責務遂行のために、審査対象として実施医療機関の長から入手する文書には「被験者の募集の手順に関する資料」(同ガイダンスでは「被験者の募集手順(広告等)に関する資料」)があります(GCP第32条第1項)。つまり、被験者募集の広告そのものの内容だけでなく、募集手順全体を審査対象とする必要があります。また、募集の主体者が誰であるかに拘わらず、貴院で実施している治験に参加を希望する被験者候補が来ることを意図して行われる募集は、事前に貴院の治験審査委員会の承認が必要となります。

  1. 貴院で実施している治験に参加を希望する被験者候補が来ることを意図して行う募集であれば、募集の主体者に拘わらず、貴院の治験審査委員会の審査対象になりますので、当該治験審査委員会の事前承認が必要です。また、そのような募集が既に行われていることを事後に知り得た場合には、治験審査委員会で当該募集を速やかに審査していただく必要があるものと考えます。なお、ご質問では「実施医療機関の名称や連絡先が掲載されない場合」とのことですが、問い合わせ窓口を通じて貴院へ紹介が行われるようなケースは、貴院の治験審査委員会の審査対象になりますので、募集手順全体を考慮して、審査の要否をご検討下さい。
  2. 「募集の手順」が審査の対象ですので、募集を行う場所(や方法)も審査する必要があります。
  3. 被験者の募集に該当するか否かは、記事の内容により個々に判断する必要があると思われます。
  4. 過去の見解2008-31、2012-47で述べていますように、他の医師へ提供される情報の範囲、患者紹介の手順によると思われます。

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