医薬品評価委員会 2014-40 治験審査委員会の会議記録

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2015年02月
改訂公開年月:2021年03月

質問

私の担当する実施医療機関に監査が入り、そこで受けた指摘に対して疑問があったため、ご質問させていただきます。

背景

  • 当該実施医療機関(実施医療機関Aとさせて頂きます。)では、過去に治験を実施したことがない。
  • 実施医療機関Aでの治験の実施体制は治験分担医師2名、CRC2名である。(治験分担医師2名共に数本の治験経験があり、CRCも十分な経験年数である)
  • 実施医療機関Aの治験責任医師に治験経験はない。(領域には精通しており、時間的余裕もある)
  • 治験責任医師は治験実施前にSMOより、GCPやSOPに関する教育を受けており、治験責任医師署名済みの教育記録がある。

監査で指摘された事項

  • 治験責任医師は治験経験がないが、初回治験審査委員会審査の議事録に治験責任医師の適格性を審査した記録がない。
  • 議事録に記載がない以上、適格性について審査されたとはいえず、GCP違反となる。

質問

治験審査委員会に審査依頼をした際に、治験依頼書には治験責任医師の履歴書を審査資料としている旨記載があり、治験審査委員会では当該履歴書を用いて治験責任医師の適格性に審議していたが、質疑応答がなかったため議事録には、特に記載していませんでした。治験責任医師の履歴書が審査資料となっている以上(治験依頼書にも記録あり)、治験審査委員会では治験責任医師の適格性について審査されたことになると考えていますが、議事録に記載がない以上、適格性が審査されたとはいえないのでしょうか。

製薬協見解

治験審査委員会の会議の記録(いわゆる議事録)については、GCP第28条第2項ガイダンス8において、「審議の結論(承認、不承認等)だけでなく、審議及び採決に参加した委員名及び議事要旨が記載されていること」と規定されています。しかしながら、議事要旨として記載しておくべき具体的な事項までは規定されていません。

治験審査委員会の審査対象資料には「治験責任医師等となるべき者の履歴書」があります(GCP第32条第1項第4号)が、この審査に用いた資料は、GCP第34条に基づき、議事録とともに保存されます。また、治験審査委員会から実施医療機関の長へは、審査に用いた資料、審査の結論等が記載された通知文書とともに、「治験審査委員会がGCPに従って組織され、活動している旨を治験審査委員会が自ら確認した文書」が提出されます。通常、これらの資料及び文書を合わせて見ますと、治験責任医師の適格性が審査されたことは説明できますので、事実として適格性を審査いただいているのであれば、議事録に「治験責任医師の適格性を確認した」等の記載が無くても、問題はないものと考えます。

見解改訂理由

GCPガイダンス(令和2年8月31日薬生薬審発0831第15号)の発出に伴い、軽微な記載整備を行いました。

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