医薬品評価委員会 2013-17 NPO法人設置の治験審査委員会における利益相反

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2013年03月

質問

自病院に10年来、院内治験審査委員会を設置し、年間10~15件の新規治験を審査してきた500床以上の某大病院があります。この病院より、外部のNPO法人が設置する治験審査委員会に治験審査依頼をするにあたり、以下のような質問を受けました。特に、昨今の臨床研究、治験での利益相反が話題になっていることから、利益相反の観点から教えて下さい。

NPO法人の定款によると、事業内容としては、(1)臨床に関わる研究開発支援、(2)治験審査委員会・倫理審査委員会の運営、(3)治験・臨床研究等の医療関連情報の啓発、とされています。本治験審査委員会の委員は10名いますが、NPO法人の役員1名が委員となっています。また、同法人の役員3名(4人の内)が、当該治験審査委員会の専門委員(非常勤で審議採決に参加せず、アドバイザーとして意見を述べる立場)となっています。

  1. 1.
    NPO法人の役員が、同法人設立の治験審査委員会の委員になることは問題ありませんでしょうか?
  2. 2.
    NPO法人の役員が、同法人設立の治験審査委員会の専門委員になることは問題ありませんでしょうか?
  3. 3.
    GCP第28条第1項ガイダンス10に「・・・・・専門家に出席を求め、・・・・」とありますが、本治験審査委員会では専門委員と表記している。委員とすると審査委員会の委員と紛らわしいので、専門家と変更すべきでしょうか?専門委員のままでもいいでしょうか?
  4. 4.
    NPO法人は定款に事業①として、A製薬会社の薬剤の開発支援を行っていた場合、当該治験審査委員会でA製薬会社の開発品の審査を行う事に対し、利益相反の問題はないでしょうか?
  5. 5.
    A製薬会社の開発品Xの臨床開発支援を行っていた場合、当該治験審査委員会でA製薬会社の開発品Yの治験審査を行う事は利益相反に該当しますでしょうか?
  6. 6.
    当該役員の委員は、事業①と関係のない製薬会社の審議の採決に参加することは問題ないでしょうか?
  7. 7.
    NPO法人がA製薬会社の開発支援をしているが、上記専門委員は、当該治験審査委員会の審議案件がA製薬会社と関係ある開発品の審議で参考意見を述べていいでしょうか?また、現在開発支援している開発品と関係がなければ参考意見を述べていいでしょうか?

製薬協見解

(1)~(3)

特定非営利活動法人(NPO)法人の役員は、GCP第28条第1項ガイダンス7にありますように「治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者」に該当しませんので、GCP第28条第1項第5号で規定するいわゆる「外部委員」にはなれませんが、それ以外の委員となることはできます。また、NPO法人の役員は、GCP第28条第1項ガイダンス10でいう「委員以外の特別な分野の専門家」として協力することもできますので、ご質問にある「専門委員」になることに問題はありません。なお、「専門委員」を「専門家」等の用語に変更する必要性ですが、GCPではなく運用の問題ですので、誤解が生じやすいと判断されるなら適宜対応されればよいと考えます。

(4)~(7)

NPO法人の治験審査委員会と治験依頼者との関係についてのこれらご質問についてはは、詳細な背景情報が把握できていませんので、断定的な回答は避けさせていただきます。

実施医療機関は、GCP第27条第2項ガイダンス5にある以下の点をご留意いただき、当該治験審査委員会が公正かつ適正な審査が行われると考えられる治験審査委員会であるか否かを判断のうえ利用する必要があります。

  • 当該治験審査委員会の設置者の役員に、当該治験審査委員会による調査審議の対象となる治験との関連の有無を問わず、製薬企業と密接な関係を有する者を含んでいないこと。
  • 治験審査委員会の設置者の行う事業として、調査審議の対象となる治験に係る薬物の開発に関わっていないこと。
  • 調査審議の対象となる治験に関連する製薬企業からの賛助金等(物品の贈与、便宜の供与等を含む。)を受けていないこと。ただし、適切な利益相反マネジメントの実施等により、治験審査委員会による治験の実施又は継続に係る意見に影響が及ばないと一般に認められる場合はこの限りでない。
  • 調査審議の対象となる治験に関連する営利企業の株式を保有していないこと。ただし、適切な利益相反マネジメントの実施等により、治験審査委員会による治験の実施又は継続に係る意見に影響が及ばないと一般に認められる場合はこの限りでない。

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