医薬品評価委員会 2013-12 目標とする被験者数の合意記録

関連分類:治験契約手続き

初回公開年月:2013年08月

質問

今般のGCP改正に伴い、契約書に記載すべき事項から「目標とする被験者数」が削除されました(統一書式からも記載項目が削除)。治験依頼者によっては、別途合意書のようなものを治験責任医師と交わす場合がありますが、このような対応もされない場合、目標とする被験者数に関する記録は全く不要でしょうか?

実施医療機関の長あるいは治験審査委員会(以下、IRB)は、当該治験を実施する上で、治験責任医師の要件確認の一環として、目標とする被験者数が適当であるかどうかを確認(審査)していたという認識でいました。目標とする被験者数の追加についても、実施医療機関や医師の受け入れ態勢が充分かどうか(数が増えても被験者へ影響がないかどうか)を確認する必要があるため、変更申請が提出されIRBで審査されていたかと思います。今般の改正により、契約書に記載が不要となったことから、目標とする被験者数の記録及びIRBでの審査も不要と捉えて宜しいでしょうか?契約書への記載が不要となった背景についても、ご教示頂ければ助かります。

製薬協見解

実施医療機関と治験依頼者は、「目標とする被験者数」について予め合意しておく必要はありますが、記録の要否及び記録の残し方については、実施医療機関と治験依頼者とが協議の上で決めることで差し支えありません。協議の結果、GCP第41条第1項ガイダンス2に記載されているような、実施医療機関と治験依頼者との書簡、会合、電話連絡等の記録として残される場合もあるかと思われます。なお、今回の省令改正に伴って発出されました「薬事法施行規則等の一部を改正する省令(案)に関する意見募集の結果について」(平成25年1月15日 厚生労働省医薬食品局審査管理課)の別添2ページでは、「目標とする被験者数は治験契約の項目の中でも変更が多い箇所であり、手続きの簡素化のために削除することとしましたが、治験依頼者と実施医療機関の間で必要に応じて合意することを妨げるものではありません。」とあります。

次に治験審査委員会(以下、IRB)による審査の要否ですが、IRBは治験の倫理的及び科学的妥当性を審査しなければなりませんので、治験実施計画書に記載される当該治験全体での「目標とする被験者数」は審査の対象となりますが、多施設共同治験における各実施医療機関の予定被験者数は、従来からIRBの必須審査項目ではありません。なお、治験を行うことの適否あるいは治験継続の可否を判断するにあたって、多施設共同治験における当該実施医療機関のみの予定被験者数も審査する必要があると実施医療機関の長又はIRBが独自に考えるのであれば、その旨が規定された手順書に従って審査が行われることでよいと考えます。

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