医薬品評価委員会 2012-24 治験実施計画書の別紙/分冊の保存

関連分類:記録の保存

初回公開年月:2012年10月
改訂公開年月:2021年12月

質問

以下のような治験実施計画書の改訂において、実施医療機関の長が治験審査委員会(以下、IRB)への審査依頼不要と判断する場合、実施医療機関及びIRB事務局での当該文書の保存は必要でしょうか?

  1. (ア)
    治験実施計画書の別紙又は分冊の変更(他の実施医療機関の追加)
  2. (イ)
    治験実施計画書の別紙又は分冊の変更(当該実施医療機関以外の実施医療機関に特有の情報の変更=他の実施医療機関の名称・所在地・治験責任医師の氏名・職名・モニターの情報の変更)

当方の見解は下記の通りですが、いかがでしょうか。

  1. (ア)
    別紙・分冊の場合ともに実施医療機関・IRB事務局での保存が必要
  2. (イ)
    別紙の場合は実施医療機関・IRB事務局の保存が必要。分冊の場合は実施医療機関・IRB事務局ともに保存は不要

過去の治験119の見解も踏まえた上で、社内でも意見が割れており、(ア)、(イ)ともにIRB事務局で保存は不要との声も挙がっております。なお、「別紙」「分冊」の区別については以下のように認識していますが、誤りがございましたら併せてご指摘頂けますと幸いです。

「別紙」「分冊」の区別

別紙
全ての実施医療機関の情報を集約した文書で、どの実施医療機関にも提供するもの
分冊
実施医療機関に特有の情報として、個々の実施医療機関用に作成したもの

製薬協見解

治験実施計画書の分冊につきましては、GCP第7条第1項ガイダンス2において「一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関に対して治験の依頼をしようとする場合において、実施医療機関の名称及び所在地、治験責任医師となるべき者の氏名並びに各実施医療機関を担当するモニター(モニターが複数である場合にはその代表者)の氏名及び電話番号等については、施設に特有の情報として、治験実施計画書の分冊として差し支えなく、当該各実施医療機関の長に対しては、当該分冊のうち、当該実施医療機関に係るもののみを提出することとして差し支えない。」と記載されています。したがいまして、実施医療機関に特有の分冊を作成している場合、治験依頼者は実施医療機関の長に対し、当該実施医療機関に係わる分冊(改訂を含む)を提出すればよく、他の実施医療機関に関する分冊を提出する必要はありません※1

なお、実施医療機関の長はIRBに、第32条第1項及びGCP第31条第2項ガイダンス3の注釈1※2に基づき、当該実施医療機関に係わる分冊及びその改訂を提出する必要があります。

一方、GCPにはご質問のような「治験実施計画書の別紙」というものはありませんが、上記GCPの規定を当てはめて取り扱えばよいと考えます。すなわち、治験依頼者は実施医療機関の長に、また実施医療機関の長はIRBに、治験実施計画書の別紙及び当該医療機関に係わる当該文書の改訂を提出する必要があるものと思われます。

上記GCPの規定に基づき実施医療機関の長及びIRBへ提出された文書は、GCPで定められた期間保存しておく必要があります。

  • ※1
    「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」の運用に関する通知の改正案に関する意見募集の結果について(H23.10.28 厚生労働省医薬食品局審査管理課)
  • ※2
    GCP第31条第2項ガイダンス3
    注1)実施医療機関の長は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書(第32条第1項参照)を最新のものにすること。治験依頼者から追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験責任医師に、治験責任医師から追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合には治験審査委員会及び治験依頼者に、それらの当該文書の全てを速やかに提出すること。

見解改訂理由

GCPガイダンス(令和2年8月31日 薬生薬審発0831第15号)発出に伴い、見解文を一部変更しました。

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