医薬品評価委員会 2012-08 医療機関の理事長を治験審査委員会委員に指名することの是非

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2012年06月

質問

実施医療機関が設置した治験審査委員会(以下、IRB)において、医師である当該医療機関の理事長を、委員として指名することは問題ないでしょうか?実施医療機関の長は、IRBでの審議・採決には参加することが出来ないとGCP第29条で規定していますが、医療機関の経営者である理事長などについて規定されていません。

GCPでは、自ら設置したIRBに医療機関の長は参加できないわけですし、その医療機関の経営者である理事長のIRBでの意見は、当該治験に影響を与えることも考えられ、IRB委員として不適切だと考えております。過去に多数のIRBを見てきましたが、理事長がIRB委員であるケースは初めてであり、理事長のIRB委員としての是非に関して、ご教示下さるようお願い致します。また、何故、医療機関の長が自ら設置したIRBに参加できないかの理由もお聞かせ下さい。

製薬協見解

実施医療機関の長は、GCP第28条第1項ガイダンス4に規定されていますように、自らが設置する治験審査委員会に出席することはできますが、委員になること並びに審議及び採決に参加することはできません。この理由としましては、治験審査委員会に対して治験を行うことの適否について調査審議を依頼し、その意見に基づいて指示、決定を行う立場の者(実施医療機関の長)が、自ら当該治験の妥当性について審議・採決に参加することになってしまい、治験審査委員会での審査及び意見に偏りを生じさせる可能性があることが一つの理由ではないかと思われます。

理事長と実施医療機関の長の権限や役割は同じではありませんが、実施医療機関の長と同様、治験審査委員会委員としての参加には懸念が持たれるものと考えます。理事長の治験審査委員会委員としての参加についてはGCPでは言及されておりませんが、実施医療機関の長が委員として参加できないことの趣旨を踏まえて適切に判断していただくことが重要と考えます。

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