医薬品評価委員会 2011-32 被験者への説明文書の改訂に伴う治験継続の意思確認(その4)

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2011年12月
改訂公開年月:2016年12月

質問

治験責任医師の退職に伴い、現在の治験分担医師が後任の治験責任医師になることになりました。

  • 現治験責任医師の退職日及び治験責任医師業務終了日:11月30日予定
  • IRB:11月8日予定
  • 治験変更契約締結日※及び後任責任医師業務開始:12月1日予定
  • 契約締結日を12月1日にしているのは、12月1日に後任の治験責任医師が副部長から部長へ変更予定であるため、何度も変更契約書を作成するのを避けるためです。

今回、治験責任医師の交代に伴い、同意説明文書を改訂する必要がありますが、変更部分は治験責任医師氏名のみとなります。治験参加中の患者に対して再同意の必要性の有無について、必要と判断される治験依頼者と不要と判断される治験依頼者とがあります。医療機関としては、GCP第54条の被験者の意思に影響を与える情報には該当しないと考え、治験責任医師が変更した旨治験参加中の患者に説明し、説明した記録をカルテに残しておけばいいのではないかと思っております。本件に関する再同意の必要性の見解を教示いただければと思います。

製薬協見解

文書による再同意の必要性は、説明文書を改訂する理由により判断すべきものです。つまり、改訂理由がGCP第54条第1項に規定されている「治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報」に該当する場合、同第2項、第3項ガイダンスにあるとおり、改訂された説明文書を用いて改めて説明し、治験の参加の継続について被験者の同意を文書により得なければなりません。

治験責任医師の変更が被験者の意思に影響を与えるか否かについては、一概に判断できません。例として、前任の治験責任医師が被験者の主治医である場合等は、その変更が被験者の意思に大きく影響を及ぼすと考えられます。一方、治験分担医師が被験者の主治医であり、新旧治験責任医師のいずれとも面識が全くないケースもあり、治験責任医師と被験者の関係性は個々のケースにおいて異なります。したがって、文書による再同意の必要性は、被験者との関係性と被験者の意思に与える影響度を考慮の上、後任の治験責任医師が判断し、最善の方法を採るべきと考えます。

なお、治験責任医師の変更は、治験実施体制に関する重要な変更事項であるため、文書による再同意の要否に関わらず、被験者へ速やかに伝達することが重要です。仮に再同意は不要と判断した際においても、その根拠を文書で説明できることが必要と考えます。治験責任医師と被験者の関係性および再同意不要と判断するに至った理由について整理し、被験者の意思に影響しないと判断した根拠として記録を残すことが重要です。

見解改訂理由

GCP第54条の「被験者の意思に影響を与える情報」について再度検討し、治験責任医師の変更は治験実施体制の重要な変更事項であり、被験者の治験継続の意思に影響を与える事項になり得るとの考えに至りましたため、見解を全面改訂しました。

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