医薬品評価委員会 2010-07 選択/除外基準に抵触する可能性がある被験者候補への同意取得

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2010年06月
改訂公開年月:2021年12月

質問

カルテスクリーニングにより、被験者の候補となる患者さんが見つかりましたが、当該患者さんのこれまでの観察・検査結果では、ある除外基準に抵触する可能性があります。除外基準に抵触するかどうかの検査・観察は同意取得後に行われることになります。決定的な除外事項ではなく、検査値や痛みの程度等の、時を待てば基準に抵触しなくなる可能性がある事項です。

この段階で、同意取得することは可能なのでしょうか?また内諾をとることは可能でしょうか?個人の認識では、同意取得というものは、選定基準に合致し、除外基準に抵触していないという前提で取るものである。また、内諾に関しても同様と考えております。

しかし、モニターから同意しても良い、事前説明したのであれば、説明者の欄にサインだけしてほしいと言われました。当然、抗議はしましたが、「GCP違反ではない」と反論されてしまいました。

もうすぐエントリー可能である者全てに内諾、同意説明をしていたら、同意文書の意味がないような気がします(検査値の微妙なものでスクリーニングにかけてみないとわからない場合は別だと考えますが)。同意説明や事前の内諾には規定やルールが明確に決まっているのでしょうか?

  • このカルテスクリーニングとは、治験実施計画書に規定されたスクリーニングのための検査・観察ではなく、過去の診療記録等から当該治験に参加いただけるような被験者候補者を探す作業を示す。

製薬協見解

ご質問にある、「検査値や痛みの程度等の時を待てば基準に抵触しなくなる」ことが、当該患者さんの治療に不利益を与えないとの前提で見解を述べさせていただきます。

GCPには、治験参加のための同意取得に関して「内諾」という用語・定義はありません。治験責任医師が作成し治験審査委員会で承認された説明文書による説明と、文書による同意取得が必要になります(GCP第50条第1項)。同意取得に際しては、治験責任医師等は、説明文書の内容を十分に理解した上で治験に参加することに同意する旨を記載した同意文書に署名を行う必要があります(GCP第52条第1項)。

ご質問のケースですが、除外基準に抵触した患者さんを治験に参加させるのであれば問題ですが、検査値や痛みの程度等の除外基準に抵触する可能性のある段階であることを前提とした治験参加のお願いであり、説明文書でその旨が十分に説明されているのであれば、当該患者さんを治験に参加させることに問題はなく、この時点で文書による同意を取得する必要があります。しかしながら、治験薬の投与は、スクリーニング検査により除外基準に抵触しないことが判明した後でなければなりません。

見解改訂理由

GCPガイダンス(令和3年7月30日 薬生薬審発0730第3号)発出に伴い、見解文を一部変更しました。

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