医薬品評価委員会 2008-46 検査入院に対するSAE報告の取扱い

関連分類:副作用等報告

初回公開年月:2009年03月
改訂公開年月:2021年12月

質問

長期試験に参加されております被験者様が狭心症様の胸痛を自覚され、循環器内科にて心カテ入院を予定されました。当院の見解としては、治療の為の入院ではなくあくまでも検査入院であり検査の結果狭心症の診断がついた時点でSAE報告書作成を検討すると考えておりました。

治験依頼者側からは、まず心カテ入院時にSAE報告書(狭心症疑いのため入院)で第1報を報告し、検査結果で診断されなければSAE報告書取り消しの報告(SAE報告書と同様の書面と情報量記載あり)を行うというものでした。結果的に狭心症と診断されたのですが、治療は不要との事でSAE報告書は取り下げの報告をするという当院にとっては理解に苦しむ内容でした。

GCPを確認しても上記SAE報告は不要と考えますが、治験責任医師は治験依頼者の要望に応える方針のようです。SAE報告書作成に要するCRC業務量は長時間を要し、可能でしたら不要な業務時間を減らしたいと思っています。そのため、治験依頼者にSAE報告書が不要であると返答し、治験責任医師にもSAE報告の必要がないと納得して頂くには、もう少し確かな証拠や前例を蓄積したいと思いお尋ねいたします。

製薬協見解

治験依頼者は、被験薬について医薬品医療機器等法第80条の2第6項を知ったときには規制当局、実施医療機関の長及び治験責任医師に通知する義務があり、その事項の一つとしまして、医薬品医療機器等法施行規則第273条第1項第2号では、「治療のために病院又は診療所への入院又は入院期間の延長が必要とされる症例」が掲げられています。

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課・医薬安全対策課発の事務連絡「E2B(R3)実装ガイドに対応した市販後副作用等報告及び治験副作用等報告に関するQ&A の改正について」のQ36において、検査を行うための入院は重篤な有害事象(以下、SAE)に該当しないとされている一方で、副作用治療のために入院したが特に処置を行っていない場合(安静治療)はSAEに該当するとされています。

よって、ご質問のような事例では、被験者の方の入院が治療を伴うものかどうかという治験責任医師の医学的判断と、治験依頼者がどのような理由で治療を伴わない(もしくは伴う)と判断したかがポイントになると考えられます。狭心症様の胸痛を治験中に発症されていることから、治験依頼者が入院時にSAE報告書を作成する必要があると判断したことは特に問題とは考えられません。

一般的には治療入院が確定した時点が第1報を報告するタイミングになりますが、具体的な事例での判断については治験依頼者と協議をお勧めします。

見解改訂理由

事務連絡「副作用等報告に関するQ&Aについて」の改訂に伴い、参照する条項を変更しました。

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