医薬品評価委員会 (7) 医療機関統廃合に伴う対応

関連分類:その他

初回公開年月:2004年12月

質問

ご承知の通り、国立病院、療養所では政策により統廃合が進められています。

当院においても本年7月に国立療養所…病院と統合し、新病院(現…病院を施設としてそのまま利用、療養所が統合され新たな医療機関名称を掲げる)が発足することになっております。

国立の場合、契約関係についてはGCPに加え、会計法が適用されており、統合に際し、現病院と新病院の会計は独立した物になります。

そこで、現病院での契約は本年6月末まで、7月以降は新病院で新たに契約締結する事になっております。

医療法上、この統合が新病院設立・設置に当たるか、単に医療機関名称の変更として取り扱われるかは定かではありませんが、治験の継続実施にあたり新病院設置と捉えた場合に実施医療機関としてGCP上の必要な措置(IRB設置、審査、契約、治験薬管理、被験者対応など)、依頼者が対応する内容についてご教示ください。

また、医療機関名称の変更とした場合、契約に際し、治験に関する現病院のすべて債権、債務を新病院が引き継ぐ旨の公文書の発行は最低限必要であると思われますがそれ以外に医療機関、依頼者が必要とされる措置についてご教示ください。

製薬協見解

病院が統廃合され、新病院が設置された場合、次のような対応が考えられます。

(1)実施医療機関として

各々の病院で作成されていた「治験に係る業務に関する手順書」のすり合せ作業があります。その結果、以下のような治験に関わる各業務並びにその責任者、担当者が明確となり、それに伴い治験の契約内容の変更が生じる可能性もあります。

  1. ⅰ.
    IRB:委員長並びに委員の選任と事務局の設置
  2. ⅱ.
    審査:会議の成立要件、通常の審査・迅速審査の定義と対応等の運営に関する事項
  3. ⅲ.
    契約:契約担当者と契約者
  4. ⅳ.
    治験スタッフ:治験責任医師・分担医師の資格要件並びに治験協力者の条件、業務内容
  5. ⅴ.
    治験薬管理:治験薬管理者の選任、保管場所の確保
  6. ⅵ.
    記録の保存:記録保存責任者の選任、保存場所の確保と保存方法
  7. ⅶ.
    その他(有害事象発生時の院内手続き、被験者負担軽減費・保険外併用療養費の支払い手続き、等)

治験の継続実施に当たっては、当該治験が新病院において実施体制(設備、治験スタッフ等)の面から可能かどうかを審議する必要があるかと考えます。治験責任医師に変更がなければ、新病院が当該治験を実施する上での要件を満たしているかどうかだけかと思います。

それで承認された後、A病院の設備体制、手順書で治験を継続する時は、A病院で実施中の治験については、新たな審議等の手続は不要と考えますが、B病院で実施中の治験については、A病院(新病院)での実施可能性等に関して審議する必要があると考えます。

被験者対応に関しては、医療機関が変更になることを説明して、治験の継続の意思を確認する必要があると考えます(文書で再同意を取得する必要はないと考えますが、B病院で治験に参加されていた被験者に対しては、A病院(新病院)で実施されることもあり診療録等に継続の意思の確認を記録しておく必要があるかと思います)。

また、現に治験に参加して頂いている被験者の治験薬投与を事務的な理由により中断する事は倫理的でないので、統合時までに全ての手続きを終了する事が望まれます。

(2)治験依頼者として

新たな実施医療機関での業務担当者、手順書の変更、また、新病院が当該治験を継続する上で設備等の要件が満たされているかを調査し、選定作業を行います。(例えば、A病院で既に実施中であり、統合後、A病院そのままの設備体制、手順書を使用する場合は新たな選定は不要と考えます)。また、実施中の治験に係わる文書又は記録が新病院に移管されたことを確認するため、直接閲覧をさせて頂くことも考えられます。

治験責任医師等が変更となる場合には、適格性の調査、治験責任医師から計画書及び説明文書の合意(説明文書の場合は本来作成する事になりますが、現にあるものの合意になると考えます)取得が必要と考えます。その後、問題がないことを確認して、当局へ変更届けを提出し、治験実施医療機関との契約手続きが進められます。

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