医薬品評価委員会 2007-31 関連医療機関2施設で一つの治験を実施する場合の契約(その2)

関連分類:治験契約手続き

初回公開年月:2008年08月

質問

治験119質問・見解集「質問番号2007-08」への製薬協見解について質問します。

治験の対象被験者としての適格性について診断及び検査を実施する場合、A病院又はBクリニックで実施したとしても被験者の同意取得後に実施することが当然の処置で、この点についての考え方は製薬協の回答内容と同様な処理が必要と考えます。私が疑問に思った事項は以下の点です。

質問1

製薬協見解の1.と2.の回答内容で、1.は「Bクリニックで実施する検査が、日常診療の範囲内として行うことができない検査を実施する場合~」と2.「Bクリニックで実施する検査が、日常診療の範囲内として行われる検査である場合~」に区分されていますが、「日常診療の範囲内・外」で区分した理由は何か?

質問2

製薬協見解の1.の回答内容で、Bクリニックも治験届出の対象施設として取り扱う場合、治験依頼者が処理すべき事項についてお教え下さい。

Bクリニックを治験届出の対象施設とした場合、Bクリニックの処理は通常の治験依頼施設と同様全ての治験手続き処理(治験開始前、中、後の手続き)が必要か?即ち、

  1. ア.
    Bクリニックでも治験責任医師の設置が必要か?
  2. イ.
    Bクリニックを対象とした施設IRBの審議が必要か?(以下の手続きの記載は省略)

質問3

Bクリニックを治験届出の対象施設とした場合「Bクリニックでの治験責任医師の設置」や「施設IRBの審議」及びその他の治験手続きの内、不要な手続き及び処理は何か?また不要と判断する場合にはどの様な理由によるものでしょうか?(治験薬を投与しない医療機関であるからか?)

製薬協見解

質問1

通常診療では、来院された患者さんの診断のために必要な検査が治験の参加とは関係なく行われます(日常診療の範囲内)。しかし、治験参加を前提とした診療では、日常診療の検査のほか、被験者の選択・除外基準の確認のために、血液検査、尿検査、心電図、バイタルサイン、画像等の検査が行われます(日常診療の範囲外)。

治験実施計画書で規定された検査項目のうち、日常診療の範囲外の検査は、同意取得後に実施しなければなりませんので、先の見解では「日常診療の範囲内・外」で区分して回答致しました。

なお、被験者に対して精神的、身体的侵襲がある検査については、被験者の負担軽減のため、治験実施計画書で同意取得前の許容期間が予め定められていれば、同意前に実施されたデータであっても、治験のデータとして使用することは可能です。

質問2、3

Bクリニックに来院された患者さんに対して、上述のような治験参加の適格性確認、治験概略の説明を行うことは、治験実施計画書で規定されている行為の一部であることから、BクリニックはGCP上の実施医療機関として治験届出の対象となります。また、このBクリニックの医師は、適格性判断までのデータを症例報告書に記載しなければなりませんが、A病院と共同で治験を実施することになることから、その役割としては必ずしも治験責任医師でなければならないということはないと考えられます。

治験審査委員会等のBクリニック及びA病院におけるGCP上必要な各手続きや対応はいずれも必要であると考えられますが、当事例の如く、複数の医療機関が共同で実施する治験については、現在のGCPでは想定されていないと考えられますので、予め医薬品医療機器総合機構に手続きや治験実施上の注意点などについて、ご相談されることをお勧めします。

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