医薬品評価委員会 2007-28 被験者が記入したQOL質問票の原本の保存

関連分類:記録の保存

初回公開年月:2008年08月
改訂公開年月:2021年03月

質問

あるグローバル治験で、患者さんにQOLに関するアンケートをとるのですが、患者さんの記入した原本を治験依頼者が入手し、その写しを医療機関で保存する手順になっています。これに某医療機関から、このようなデータの元となるものは医療機関が保存するものであり(必須文書通知 40.原資料の概要に「等」がついているが保存場所は医療機関のみ)、原本を治験依頼者に提出するのはおかしいのではないかと、意見をいただきました。

治験依頼者が、このように被験者が記入したアンケート等の原本を入手することはGCP(あるいは医療法?)上において問題となりますでしょうか?

製薬協見解

GCP第2条ガイダンス6では、原資料の定義として、「第14項の"原資料"とは、治験の事実経過に係る情報や症例報告書等の元となる文書、データ及び記録(例:病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投与記録、自動計器の記録データ、正確な複写であることが検証によって保証された複写物又は転写物、マイクロフィッシュ、写真のネガ、マイクロフィルム又は磁気媒体、エックス線写真、被験者ファイル及び治験に関与する薬剤部門、検査室、医療技術部門に保存されている記録等)をいう」と規定されています。

したがいまして、「QOLに関するアンケート」が治療を行う上で医師の判断に必要となり、かつ、症例報告書への記載の元データとなるものであれば、当然のことながら実施医療機関でその原本が保管されるべきです。しかし、ご質問の内容からは治験依頼者のみがそのデータの評価を行うためのものと考えられますので、治験依頼者、実施医療機関がそれぞれ原本と写しを保存する旨が予め治験実施計画書等で明記され、事前に実施医療機関と合意されていれば、治験依頼者が原本を保存することで問題ないともの考えます。

ただし、被験者を特定できるような情報をマスキングする等、被験者のプライバシーの保護に配慮した上で、治験依頼者が原本を入手することは言うまでもありません。

見解改訂理由

GCPガイダンスの改正(令和2年8月31日 薬生薬審発0831第15号)に伴い、参照する条項及び見解文の一部を変更しました。

このページをシェア

TOP