医薬品評価委員会 2012-19 治験審査委員会における欠席委員からのコメントの取扱い

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2012年08月

質問

既に治験実施の初回審査を通過した小児科対象の治験につきまして、第2回目のIRB審査があります。案件は、以下のような情報が「書式16 安全性情報等に関する報告書」に記載されている安全性情報です。

有害事象等の概要
「3. 1又は2に準じて重篤、先天性異常等(未知)」、定期報告
治験依頼者の見解
治験の継続=可、治験実施計画書の改訂=不要、説明文書、同意文書(見本)の改訂=不要、その他=なし
添付資料
個別報告共通ラインリスト、治験薬重篤副作用等症例定期報告書、重篤副作用等症例の発現状況一覧

上記案件のIRB審査につきまして、小児科専門のIRB委員の出席が不可能な場合には、添付書式にて当該委員よりIRB前にコメントを受領するよう、治験依頼者より依頼を受けました。次回(第2回目)のIRBでは、小児科専門委員の出席は難しい状況ですが、GCP上のIRB成立要件は十分満たせる状況です。このように、初回審査ではなく、定期安全性情報の審査のみでも、GCP上必ず事前に小児科専門委員のコメントは必須でしょうか?

製薬協見解

GCP第28条第2項ガイダンス3におきまして、「治験審査委員会の会議の成立要件は、GCP第28条第1項の要件を満たさなければならない」旨が記載されており、同条同項第1号に治験審査委員会の要件として「治験について倫理的及び科学的観点から十分に審議を行うことができること。」と規定されています。また、GCP第29条第2項では「審議に参加していない委員は、採決に参加することができない」と規定されています。したがいまして、治験審査委員会は、会議の開催前に成立要件として、非専門家委員/外部委員の出席状況や出席委員数の確認だけではなく、「(出席委員だけで)治験について倫理的及び科学的観点から十分に審議を行うことができるかどうか」を判断する必要があります。

ご質問のケースにおきましては、小児科専門のIRB委員の意見が「治験について倫理的及び科学的観点から十分に審議を行うために必要」(つまり、会議が成立するために必要)と、治験審査委員会が判断するのであれば、当該委員の出席は必須となり、コメントの提出だけでは不十分です。一方、当該IRB委員が欠席していても「倫理的及び科学的観点から十分に審議を行うことが可能」と治験審査委員会が判断している場合には、欠席する当該IRB委員からコメントを提出してもらう必要はありません。

なお、GCP第28条第1項ガイダンス10には、「治験審査委員会は、委員以外の特別な分野の専門家に出席を求め、その協力を得ることができる。」と記載されています。当該治験の審議に際して、ご質問の小児科専門のIRB委員の欠席が避けられず、「倫理的及び科学的観点から十分な審議」を行うことが困難な場合には、治験審査委員会の判断により「委員以外の特別な分野の専門家」を招聘することで対応することも可能と考えられます。

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