医薬品評価委員会 2010-53 被験者負担軽減費の変更に伴う再同意取得の必要性

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2011年04月

質問

先日、ある実施医療機関で被験者へ支払う負担軽減費の金額を治験中に変更することとなりました。治験開始時に「1来院につき10,000円」と規定していたのですが、遠方から来院されている被験者の交通費が10,000円を超えていたことが治験中に判明し、距離に応じて20,000円まで負担できるよう増額するとの治験責任医師が判断されたためです。

それに伴い、同意説明文書を改訂することとなりました。この場合、改訂された同意説明文書での文書による再同意は必須でしょうか。

実施医療機関側は、今回の同意説明文書変更はGCP第54条に該当しないため変更点を被験者に口頭にて説明し、口頭同意を取得することで十分ではないかとの判断ですが、GCP上問題はないでしょうか。対応としては、下記の3つが考えられますが、いずれの対応がもっとも適切でしょうか。

  1. 治験継続している全ての被験者から改訂版の同意説明文書で文書同意を頂く
  2. 治験継続している被験者の中で、負担軽減費の増額に該当する被験者のみから改訂版の同意説明文書で文書同意を頂き、増額に該当しない被験者へは口頭同意を頂く
  3. 治験継続している全ての被験者へ改訂版の同意説明文書を渡し、口頭同意を頂く

製薬協見解

GCP第51条第1項ガイダンス1(17)「被験者に金銭等が支払われる場合にはその内容(支払額査定の取り決め等)」にありますように、被験者負担軽減費は被験者への説明文書に記載すべき事項であることから、当該支払い内容が変更される場合には、説明文書の改訂が必要となります。負担軽減費の増額につきましては、被験者の継続の意思に必ずしも影響を与える重要な変更には該当しないようにも思われますが、該当する被験者に対しては、改訂された説明文書を用いて説明を行い、再同意を取得することが望ましいと思われます。しかしながら、今回の変更内容が既に治験に参加されている被験者の継続の意思に影響を与えるものではないと治験責任医師が判断しているのであれば、該当する被験者に口頭で説明し、意思を確認し、それを記録することでも問題はないと思われます。

なお、被験者負担軽減費を一律に10,000円とされていた設定根拠を変更される場合には、治験119質問番号(5)にありますように治験審査委員会での審査が必要になります。また、設定根拠によっては、当該実施医療機関における他の治験での取り扱いついても検討が必要になります。

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