くすりについてくすりについて

6.くすりの役割と未来

Q49 「抗体医薬(こうたいいやく)」とは、なんですか。

A

私たちは、体内に無い異物を排除する抗体というたんぱく質をつくり出して病気を防いでいます。この仕組みを利用して、病気の原因となっている物質に対する抗体をつくり、体内に入れ、病気の予防や治療をおこなうくすりが「抗体医薬」です。

解 説

私たちの体は、病原菌などの異物(抗原)が体内に入ってくると、その異物と結合する抗体をつくり、異物を無毒化する働きをもっています。これは「抗原抗体反応」と呼ばれ、人間にもともと備わっている免疫(めんえき)機能です。

「抗体医薬」は、この仕組みを人工的に利用したくすりです。病気の原因となっている物質に対する抗体をつくり出して体内に入れ、病気の原因を排除することで、予防や治療をおこないます。

抗体医薬は、遺伝子組み換え技術などのバイオ技術を使ってつくられます。ヒトの抗体に近い構造の抗体をつくることで、ヒトの体内でも安全に機能します。

一種類の抗体は、特定の抗原だけに作用するので、その抗原をもっていない他の組織や細胞に作用することは少なく、副作用も少ないと考えられます。このため抗体医薬は、これまでくすりの重い副作用が知られていたがんをはじめ、アルツハイマー病や自己免疫疾患(しっかん)といった、現在までに有効な治療方法が確立されていない病気のくすりとして、世界中で大きな期待が寄せられています。

1998年にアメリカで認可された「トラスツズマブ」は、乳がんの抗体医薬です。抗体を利用して、がん細胞をピンポイント攻撃する初めての抗がん薬です。乳がんの中でもHER-2というたんぱく質が多いタイプは、治療が難しいとされていましたが、トラスツズマブは、HER-2と結合し、がん細胞を攻撃します。さらに、トラスツズマブが結合したがん細胞は、ヒトの免疫システムに備わっている免疫細胞の攻撃も受け、がん細胞の働きが止まります。このくすりによって乳がんの効率的な治療の道がひらけました。

日本では、国産初の抗体医薬となる抗リウマチ薬が2008年に承認されました。

リウマチは、関節の痛みや腫(は)れ、変形などを引き起こす病気です。本来は体内に入った異物を排除する免疫システムが、正常な細胞に作用して症状を引き起こす、自己免疫疾患の1つです。

抗体医薬の抗リウマチ薬は、増えてしまった免疫の異常を起こす物質に作用し、従来の抗リウマチ薬では不十分だった病気の進行をくい止める働きが大きく向上するとされています。

今後は、抗体医薬などのバイオ技術を活用したくすりが加わって、がんをはじめ従来では治療の難しかった病気の治療にも大いに役立つことでしょう。

図表・コラム

49|「抗体医薬」の作用メカニズム

「抗体医薬」の作用メカニズム(拡大)

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くすりの情報Q&A55

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