くすりについてくすりについて

6.くすりの役割と未来

Q48 「分子標的薬(ぶんしひょうてきやく)」とは、なんですか。

A

体内の特定の分子を狙い撃ちし、その機能を抑(おさ)えることによってより安全に、より有効に病気を治療する目的で開発されたくすりです。

解 説

「分子標的薬」は、病気の細胞(がん細胞など)の表面にあるたんぱく質や遺伝子をターゲットとして効率よく攻撃するくすりとして注目されています。「抗体(こうたい)医薬」(Q49参照)には、分子標的薬に分類されるものもあります。現在では、低分子化合物のくすりも含め、10種類以上の分子標的薬が使用されています。

がんの治療薬を例にとりますと、抗がん薬の多くは、がん細胞だけでなく正常な細胞も攻撃してしまうので、重い副作用を発現させることも少なくありません。従来はがん細胞を死滅させる作用によって治療の効果を得てきましたが、近年、がんに関する研究が進み、がん細胞が増殖や転移をするのは、異常な遺伝子からできた物質が悪さをしているためであることがわかりました。つまり、悪さをする物質の働きを抑(おさ)えることができるなら、がん細胞の増殖や転移が抑えられるはずです。

こうした考え方から誕生したのが「分子標的薬」です。

分子標的薬は、ゲノム・分子レベルでがん細胞の特徴を認識し、がん細胞の増殖や転移をおこなう特定の分子だけを狙い撃ちにするので、正常な細胞へのダメージが少なくなっています。副作用がまったくないわけではありませんが、従来のがんの治療薬に比べると、より患者さんの負担が少なくなっています。

分子標的薬の1つ「イマチニブ」は、血液のがんである白血病(慢性骨髄(こつずい)性白血病)の治療薬です。白血球を増殖させる異常たんぱく質をとらえ、その働きを抑える仕組みをもったくすりとして開発されました。その後、胃などのある種のがん(消化管間質腫瘍(かんしつしゅよう))でも、イマチニブががんの増殖を抑えることがわかり、適応範囲が広がりつつあります。

こうしたくすりの利用が進めば、従来は入院が必要とされるケースでも、通院治療や在宅治療ができるようになるため、患者さんが高いQOLを保ちながら治療を続けることができるようになると期待されます。

図表・コラム

48|「分子標的薬」の作用メカニズム

「分子標的薬」の作用メカニズム

図版をクリックすると大きく表示

くすりの情報Q&A55

このページのトップへ

  • キャンペーン
  • 製薬協ニューズレター メールマガジン登録はこちらから
  • くすり研究所
  • 治験について
  • グローバルヘルス
  • APAC
  • くすりの情報Q&A
  • 製薬協のテレビCM