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6.くすりの役割と未来

Q44ワクチンの役割について、教えてください。

A

ワクチンは、あらかじめ病原性をなくしたり、弱くした病原体(ウイルスや細菌)を体内に入れ、免疫(めんえき)をつくることで、病気を予防するくすりの一つです。近年は、病原体を使わず、遺伝子組み換え技術で製造したワクチンもあります。

解 説

1796年にイギリスのエドワード・ジェンナーは、牛痘(ぎゅうとう)(牛の天然痘)の菌を人に植えつけると、その人は天然痘を発症しないことを発見しました。

この方法(種痘(しゅとう)法)は、死の病気と恐れられていた天然痘を克服する画期的なものとして、急速に世界中に広まりました。

19世紀後半になって、フランスのルイ・パスツールは細菌の研究から、狂犬病のワクチンを開発することに成功しました。

ジェンナーやパスツールの研究によって、「弱くした病原体(ウイルスや細菌)にあらかじめ感染させておくと、その後に同じ病原体が体内に入った場合でも発病しない仕組み(免疫)」が発見されたのです。その免疫をつくり、病気を予防するのがワクチンです。

その後、はしか(麻疹(ましん))やジフテリア、風疹、破傷風、日本脳炎、ポリオ(小児麻痺(まひ))、B型肝炎、インフルエンザ、細菌性肺炎、細菌性髄膜炎(ずいまくえん)など、人々を苦しめた数多くの病気に対してワクチンが開発され、使われてきました。

一方ワクチンは、健康な人々に接種されるものですが、確率は低いながら、副作用(ワクチンの場合は副反応といいます)も発現するので、数百万人~数千万人が接種を受ければ、ごく一部には副反応を経験する人も出ます。

またワクチンは、生物学的製剤であるため、ワクチンの成分に対してアレルギー反応を起こすなど、体質的にワクチンが接種できない人もいます。

したがって、国が接種を勧奨している定期接種のワクチンであっても、ワクチン接種に伴うリスクとベネフィットを理解したうえで接種するようにしましょう。

また、ワクチン接種後に具合が悪くなるなどの症状が出た場合は、必ず接種した医師に伝えるようにしてください。

図表・コラム

44|種痘法

種痘法とは「あらかじめ弱くした病原菌に感染させておくと、同じ菌が体内に入った場合でも発病しない仕組み(免疫)」を応用し、あらかじめ感染力を弱くした病原菌を接種して、免疫力を高める方法です。日本では、伝染病予防法の対象だった種痘接種は1999年施行の感染症法に移され、同時に個別接種方式の導入と接種年齢の見直しなどが図られています。

種痘法

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種痘法
ジェンナーの天然痘の予防接種

種痘法
ワクチン接種用の二又針(例)
ワクチン接種用の二又針(例)

1796年、イギリスの開業医、エドワード・ジェンナーは、長年の研究の末、天然痘に感染した牛の膿から精製した牛痘ウイルスをあらかじめ人に接種しておけば、その後天然痘ウイルスを接種しても軽度の症状で済むことを発見します。それは医学的に世界最初の予防接種として、今日の天然痘の撲滅に貢献するものでした。

種痘法とは「あらかじめ弱くした病原菌に感染させておくと、同じ菌が体内に入った場合でも発病しない仕組み(免疫)」を応用し、あらかじめ感染力を弱くした病原菌を接種して、免疫力を高める方法です。日本では、伝染病予防法の対象だった種痘接種は1999年施行の感染症法に移され、同時に個別接種方式の導入と接種年齢の見直しなどが図られています。

MINIコラムワクチンの種類

ワクチンは当初から、弱い病原菌を生きた状態で利用していました。これを「生ワクチン」といいます。

病原菌の種類によっては、生きたままではワクチンとして利用しにくいものもあります。そのため現在では、病原菌の活性を失わせた「不活化ワクチン」や、病原菌のもつ毒素を変性させて無害化した「トキソイド」、さらに必要とされる病原菌の一部分だけを利用した「コンポーネント・ワクチン」など、さまざまなタイプのワクチンが開発され、利用されています。

また、遺伝子組み換え技術の進歩により、病原菌の遺伝子やたんぱく質だけを用いる「リコンビナント・ワクチン」の研究も進められており、ワクチンの多様化はより多くの病気の予防や治療に役立つものとして期待されています。

くすりの情報Q&A55

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