くすりの情報Q&A Q26.水なしでくすりをのんだり、水以外のものでのんだりしても大丈夫ですか。
回答
のみ薬は水でのむとのみやすく、また、水に溶けることで吸収が良くなり、効果を発揮しやすいようにできています。それ以外の方法でのむと、思わぬ事故につながることもあるので注意が必要です。
解説
一般的なのみ薬は、コップ1杯程度(約200cc)の水、または白湯(水をいったん沸騰(ふっとう)させた後、ぬるめに冷(さ)ましたもの)でのむことを前提にしてつくられています。したがって、水なしでのんだり、少量の水でのんだりすると、くすりが十分に溶けないので、吸収が低下して効果が発揮できないことがあります。
またカプセル剤の場合は、水なしでのむとのどや食道にくっつき、そこで溶け出したくすりの成分が粘膜(ねんまく)を傷(いた)めることがあります。こうした事故を防ぐためにも、いつも多めの水でのむ習慣をつけておくことが大切です。
では、コーラやジュース、牛乳などでくすりをのむ場合はどうでしょうか。
コーラのような炭酸飲料は、くすりの吸収に影響するといわれ、しかも散剤などは、炭酸の泡(あわ)と一緒にのみ込みにくくなったり、十分にのみ込めなくなりやすいのでやめましょう。
またコーラには、コーヒーや紅茶などと同様にカフェインが含まれています。カフェインには、眠気覚ましなどの興奮作用や尿の排出を促(うなが)す利尿作用を持っていて、そのため、鎮静(ちんせい)薬では効果が弱まることがあります。また、痛風治療薬の中にはカフェインの分解を抑(おさ)えて興奮作用が強く出て頭痛や動悸(どうき)を起こすことがあります。最近は、カフェインが含まれる飲料が増えてきていますので、毎日くすりを服用している方は飲料の成分に注意してください。
ジュースでは、グレープフルーツジュースで血圧降下薬(カルシウム拮抗薬(きっこうやく)など)の分解が抑えられ、作用が強く出てしまうこともあります。グレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリンが、小腸にあるくすりを代謝する酵素の働きを弱めてしまうことが原因です。この影響は2 ~ 3日続く場合もありますので注意してください。なお、カルシウム拮抗薬は、さまざまな種類があり、グレープフルーツの影響を受けにくいものもありますので、医師や薬剤師に相談してみるとよいでしょう。
このほか、柑橘(かんきつ)類のジュースをたくさんのむと、尿がアルカリ性に変わり、くすりによっては効き目が強くなったり、弱くなったりします。ジュースでくすりをのむことも避けましょう。
くすりとの相性で、特に問題となるのはアルコールです。
アルコールは肝臓で分解されます。多くのくすりも肝臓で分解されます。このため、くすりとアルコールを一緒にとると、くすりの分解が遅れて、通常より高い血中濃度となり、結果として強い作用を及ぼすことがあります。さらに、アルコールを毎日飲み続けるとアルコールを分解する酵素が増えて、くすりも分解されやすくなり、くすりの効果が低下することもあります。
精神安定薬や睡眠薬(すいみんやく)のような精神を鎮(しず)める作用をもつ薬は、アルコールにも同じような作用があるため一緒にのむと極端に作用が強まることがあります。また、糖尿病のくすりでは、低血糖を起こしやすくなります。
くすりは、絶対にアルコールと一緒にのまないでください。くすりは水や白湯でのむように心がけましょう。
図表・コラム
26|くすりを水とグレープフルーツジュースでのんだ場合の効き方の違い
医師は、患者さんの体調や病状を診察し、その状態に合わせて、最適なくすりを処方します。