くすりの情報Q&A Q21.学校でくすりについて勉強する機会はありますか。

回答

2012年4月から、中学校の「保健体育」の授業で「医薬品の教育」が義務化されました。小学校や高校でも、各校の判断で医薬品の教育をおこなうようになってきています。

図表・コラム

医薬品の教育が必要になったのは、未成年者でも、自分自身で健康管理に努め、くすりを使う時は、正しく使用できるようにするという意識をもってもらうようにするためです。

日本には「国民皆(かい)保険制度」という世界でも優れた保険制度があり、国や自治体などの支援のもとで、誰もが低い費用の自己負担で医療を受けられることになっています。

しかし、近年、少子高齢社会になり、国民が医療に使う費用が高騰し続けていて、国や自治体の財政を圧迫しています。そこで国民一人ひとりが、健康管理に努め、軽度の不調は自分で治療するという「セルフメディケーション」の考え方が重要といわれてきています。

平成17年、文部科学省の中央教育審議会の「健やかな体を育む教育のあり方に関する専門部会」は、審議の状況報告で「すべての子供たちが身につけているべきミニマム:保健で身につけるべきもの」として、「医薬品の有効性や副作用を理解し、正しく医薬品を使うことができる」と提言しました。

そして平成20年の中学校学習指導要領の、保健体育:保健分野において「健康の保持増進や疾病の予防には、保健・医療機関を有効に利用することがあること。また、医薬品は、正しく使用すること」が加えられ、義務教育の中で「医薬品の教育」がおこなわれることになったのです。

また、平成20年の学習指導要領の改訂で、高等学校でも医薬品をさらに深く教えることになりました。

医師に処方してもらう医療用医薬品は、医師や薬剤師の指導のもとで使用しますが、薬局や薬店で自分で買える一般用医薬品については、自己管理が大切です。

さらに、インターネットでも購入できるようになり、ますます自己管理が重要になり、自己責任のもとで使用しなければなりません。くすりののみ方が間違っていたり、自己判断でくすりをのんだりして、危険な状況になるケースも考えられます。

未成年の時期から、くすりの正しい使い方を学んでおくことが重要です。

MINIコラム 学習指導要領

中学校

医薬品は、正しく使用すること。

解説

  • 医薬品には、主作用と副作用があることを理解できるようにする。
  • 医薬品には、使用回数、使用時間、使用量などの使用法があり、正しく使用する必要があることについて理解できるようにする。

医薬品の正しい使い方

高校

医薬品は、有効性や安全性が審査されており、販売には制限があること。

疾病からの回復や悪化の防止には、医薬品を正しく使用することが有効であること。

解説

  • 医薬品には、医療用医薬品と一般用医薬品があること、承認制度により、有効性や安全性が審査されていること、および販売に規制があることを理解できるようにする。
  • 疾病からの回復や悪化の予防には、個々の医薬品の特性を理解した上で使用法に関する注意を守り、正しく使うことが必要であることを理解できるようにする。
    その際、副作用については、予期できるものと、予期することが困難なものがあることにも触れるようにする。

平成17年、文部科学省の中央教育審議会「健やかな体を育む教育のあり方に関する専門部会」の審議の状況報告よりの抜粋。
出典:公益財団法人日本学校保健会「医薬品の正しい使い方 指導者用解説(高校生用)」より引用(抜粋)。

https://www.hokenkai.or.jp/iyakuhin/05.pdf

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