そのとおりです。ゲノム医療開発をめざすトランスレーショナル・リサーチセンターを含めて、東京ベイエリアをゲノム研究と産業の中心とすることを考えています。この地区には、白金台にわれわれの医科学研究所、お台場に産業技術総合研究所、築地に国立がんセンター、横浜に理化学研究所、かずさにDNA研究所などがあり、大学や企業も集中している。成田や羽田の国際空港からも近い。住環境としても魅力的で、ゲノム研究と産業のためのプラットフォームをつくるのに好条件を備えているのです(図2)。
こうしたプラットフォームは、大学・研究所などアカデミックな施設と連動して、しかも民間の企業やベンチャーも使えるような開放的なもので、しかも海外の研究者や企業・ベンチャーなどをも引きつける魅力あるものでなくてはなりません。私はさらに、シンガポールをはじめ、香港、台湾、韓国、オーストラリアを結んだアジア環太平洋分子生物学ネットワークを構築して、アジア・環太平洋型の連携を図っていくことを視野に入れています。
ゲノム創薬のリスクを軽減するため、既存の製薬企業とも協力して、特徴ある技術開発を行う日本型のベンチャーを創出していくことも重要でしょう。企業が主体となって行われる薬剤候補の臨床試験がゲノム創薬の第2ステップとなりますが、正確、迅速で公正な安全性審査の整備なども急務と考えます。
われわれ医科研では、ゲノム医科学の時代に対応する、新しい組織づくりを進めてきました。ヒトゲノム解析センターやヒト疾患モデルセンター、先端医療研究センターの設置はその一環であり、医科研病院は探索型病院として研究と先端医療の両方に貢献できる体制を整えています。一般社会に開かれた研究所としての使命を果たすため、近代医科学記念館も設け、情報公開に努めています。現在、先端治療開発とゲノム医療開発システムの構築を進めていますが、臨床統計疫学データの収集をはじめとして、ゲノム創薬に向け、製薬各社、そして日本製薬工業協会との協力も欠かせないものと認識しています。