健康医療データの用語集

ドラッグラグ・ドラッグロス

ドラッグラグ・ドラッグロスは、海外で承認された薬が日本では遅れて承認されたり、承認されていない状態を指します。これにより、患者さんが治療を受ける機会を逃すことがあります。

ドラッグラグには2つの側面があります。
1つ目は開発ラグで、海外で新薬が開発された後、日本での開発が遅れることです。2つ目は審査ラグで、海外と比べて日本の審査機関(PMDA)による承認審査に時間がかかることです。近年、審査ラグは大幅に短縮され、2024年度にはほぼゼロとなっています。
ドラッグロスは、海外で承認されているにもかかわらず、日本では開発すらされていない薬のことです。特にがんや希少疾患、小児疾患など、患者数が少なくても医療上の必要性が高い領域で多く見られます。
この問題の背景には、日本が、治験の特に第III相に参加しづらい環境であることが挙げられます。現在、多くの治験は複数の国の患者さんが参加する国際共同化が進んでいますが、日本では国際共同治験に参加する前に、外国人の試験があっても日本人を対象として安全性を確認する第I相試験が必要とされていました。これが薬を開発する企業にとって大きな負担となり、日本が治験対象から外れるケースがありましたが、現在は必ずしも日本人を対象にした第Ⅰ相試験を実施する必要はなくなっています。さらに、日本市場の収益性の予見が難しく、不確実であることも一因です。日本では薬価が定期的に引き下げられる制度があり、また、日本の人口も減少しています。このため、日本に拠点のない外国のベンチャー企業などは、日本での開発を後回しにしたり、行わなかったりすることがあります。
こうした課題に対し、厚生労働省は、国内で開発が進んでいない薬の情報を整理し、企業に開発を要請しています。さらに、PMDAは国際共同治験の推進や英語での申請対応、相談体制の強化などを通じて、海外企業の参入を支援しています。
また、国立がん研究センターが主導する「SCRUM-Japan」や「MASTER KEY Project」では、がんや希少疾患の患者さんに対して、ゲノム情報を活用した個別化医療の推進と新薬の早期導入を目指す取り組みが進められています。
これらの取り組みにより、ドラッグラグ・ドラッグロスの解消が期待されていますが、患者さんが必要な治療を受けられるよう、今後もより一層継続的な改善が求められています。

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