医薬品の研究開発の実態 ～アンケート調査に基づく研究開発期間、成功確率、研究開発費用～
高橋 洋介（医薬産業政策研究所 主任研究員）
岡田 法大（医薬産業政策研究所 主任研究員）
（No.82：2024年03月発行）
要旨
日本の製薬企業における研究開発の生産性の実態を分析することを目的にアンケート調査を実施した。
「研究開発期間」「成功確率」「研究開発費用」の3つのパラメータについて要約統計量を算出し、各パラメータに影響を及ぼす要因分析を行うとともに、総合指標としての「1新薬を上市するための期待研究開発費用」を推計した。
グローバル開発時における「研究開発期間」「成功確率」「研究開発費用」の概要は下図の通りであり、資本コスト10%を仮定した時の「1新薬を上市するための期待研究開発費用」は1415億円（2023年価格）と見積もることが出来た。本稿においては、この金額をどう捉えるべきであるのか、要因分析や過去調査との比較、感度分析等の手法を用いて、様々な視点から考察した。
Summary
A questionnaire survey was conducted with the objective of analyzing the R&D productivity in Japanese pharmaceutical companies. It was analyzed mainly from the three perspectives of "R&D period", "success rate", and "R&D cost", and then "total capitalized cost for one new drug approval" was estimated.
The following figure outlines the "R&D period", "success rate", and "R&D cost" in case of global development. Assuming a capital cost of 10%, the "total capitalized cost for one new drug approval" was estimated to be 141.5 billion yen (inflation adjusted 2023 JPY).