日本における新薬の臨床開発と承認審査の実績 2000~2015年承認品目

加賀山 貢平、白神 昇平(医薬産業政策研究所 主任研究員)
小野 俊介(東京大学大学院薬学系研究科 医薬品評価科学講座 准教授)

(No.69:2016年11月発行)

2015年に承認された新医薬品は106品目であり、そのうち、新効能医薬品が51品目と最も多く承認されており、次いで新有効成分含有医薬品(NME)が38品目、新用量医薬品が9品目となった。

2015年承認品目の臨床開発期間(中央値)は、全体で41.5ヶ月、そのうちNMEでは54.0ヶ月、NME以外で32.2ヶ月であった。国内承認申請における外国臨床データの利用状況では、NMEの半数を超える品目で評価資料として利用されており、外国臨床データを評価資料とした品目では、有意に臨床開発期間が短い結果となった。また、2015年承認品目の国際共同治験実施品目数は21品目と2014年(33品目)に次ぐ多さとなり、近年世界同時申請・承認を目指した品目が増加している。

2015年承認品目の審査期間(中央値)は全体で9.9ヶ月、通常審査品目で10.9ヶ月、優先審査品目で8.0ヶ月、迅速処理品目で5.5ヶ月であった。PMDA設立以降、中央値で見た審査期間は短縮してきており、直近5年間の実績から欧米と遜色ない審査期間で安定している状況となっている。PMDA設立後の2005年~2015年の承認品目において審査期間の長さに関連する因子を推計した結果、NME以外の品目であること、優先審査品目であること、当該疾患領域における開発経験があることといった3因子が審査期間の短縮に関連する因子であることが示された。また、2005年を基準として2009年以降の承認品目において審査期間の短縮トレンドが認められた。申請企業によるPMDAの承認審査に関するパフォーマンス評価は年々高くなっており、2015年承認品目ごとの調査でも80%(中央値)と高い数値となった。審査期間の短縮だけでなく、審査の質の点からも、改善されている状況が見て取れた。

アンケート調査から、承認審査のシステムやプロセスにおける改善すべき課題や新たな制度への不安等も少なからずあることも明らかとなった。2016年10月からは、承認申請書類の電子データ提出が開始され、審査プロセスが大きく変化する。より有効で、安全な医薬品をより早く医療現場に届けることができるよう、行政と申請者が協力して、お互いの業務効率やさらなる質の高い審査制度について今後も議論を継続していくことが期待される。

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