刊行物

リサーチペーパー

日本における新医薬品の開発期間 -臨床開発期間と承認審査期間-

安田 邦章 (医薬産業政策研究所 主任研究員)
小野 俊介 (東京大学大学院薬学系研究科 医薬品評価科学講座 准教授)

(No.42:平成20年9月発行)

 日本における新医薬品の治験届出日から承認申請日までの「臨床開発期間」、承認申請日から承認日までの「承認審査期間」、それをあわせた「開発期間」について、年次による変化や医薬品特性と開発期間との関係等、承認医薬品のデータに基づいて定量的に示される特徴を明らかにした。

 通常審査の対象となった新有効成分含有医薬品の国内開発期間は過去10年にわたって変化はなく、むしろ長期化していた。しかし、開発・審査の迅速化の措置が講じられた優先審査品目、すなわち日本人の臨床試験成績が少ないなど承認可否に係る基準・要件が特別となる医薬品では期間短縮していた。 日本を新薬開発の魅力ある場とするためには、新医薬品全体についての開発期間の短縮に向けた施策の実行が望まれる。また医薬品として許容できる最低限の臨床成績の収集に必要な期間として考えると、規制当局、新薬開発企業、さらには患者にとって、どの程度の臨床試験成績と開発期間であればよいのか、という議論の進展が望まれる。
 2007年に承認された新医薬品の総審査期間は20.0ヵ月であった。そのうち通常審査品目は22.2ヵ月、優先審査品目は15.4ヵ月であった。2006年と比べて新医薬品全体の総審査期間は2.1ヵ月、通常審査品目では6.1ヵ月、優先審査品目では1.5ヵ月短縮していた。総合機構の設立以降、2005年、2006年に長期化していた総審査期間は、2007年になってはじめて期間短縮という成果を示した。米国(CDER)の2007年承認品目の審査期間は10.0ヵ月、欧州(EMEA)の審査期間は13.5ヵ月であった。日米の審査期間差は10.0ヵ月、欧州との期間差は6.5ヵ月となる。日本は承認審査期間の短縮の兆しがみられているが、欧米の審査期間との差は未だ大きい。

 企業が日本の新薬開発を早期に開始するためには、日本が企業にとって魅力ある医薬品市場であり、かつ魅力的な医薬品開発の場として評価されることが必要である。新薬の国内開発の迅速化を通じて、国民に対する医薬品の便益の向上を図るという目標の実現に向けて、国民、政策当局、製薬産業の間で、開発期間や企業の開発戦略に影響を及ぼす要因、行政施策の効果などについてエビデンスに基づく議論の進展が強く望まれる。

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