医薬品評価委員会 2011-48 実施医療機関からの検査受託に係る記録等の保存

関連分類:その他

初回公開年月:2012年04月
改訂公開年月:2021年12月

質問

今回近隣のクリニックでの治験において、クリニックで実施できない一部の検査業務(今回はMRI)と夜間・救急時の対応に関する業務委託の依頼がありました。委受託契約書作成にあたり、GCP第39条の2をみると、業務を受託する当院も規制当局による調査の受け入れと治験に係わる文書及び記録の保管を求められており、契約書にもそれを明記するよう記載されています。

しかしながら、委託された検査の結果や救急対応時の診療情報は、治験実施施設の依頼に基づき、通常の診療情報提供の流れで治験実施施設へ報告されるため、治験実施施設内で調査は完結するのではないかと思います。そのため、当院まで規制当局の調査の対象になり、それを受け入れなければならないのか、当院におけるその治験に係わる情報を医師法ではなく、GCPに基づき保管しなければならないのか疑問に感じてしまいました。

今回の改訂がどのような意図で行われたのか、我々はやはりGCPの記載に則り対応しなければならないのか、製薬協のご見解を頂戴できればと思います。

製薬協見解

治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には、実施医療機関は当該業務を受託する者と、GCP第39条の2に従って契約を締結する必要があります。さらに、同ガイダンスの9に規定されていますように、「受託者は、法第14条第6項後段及び法第80条の2第7項の規定による調査等の対象となる。」とともに、「実施医療機関は、規制当局による調査時に受託者が保存すべき文書又は記録(データを含む)の全ての記録を直接閲覧に供することを、受託者との治験の契約書に明記する。」必要があります。

貴院が受託する検査が、治験実施の一部として行われる検査(つまり、治験実施計画書において規定されている検査)であれば、同条に規定されています各号の内容を含んだ契約を締結されるとともに、要求された場合には、規制当局による調査を受け入れていただく必要があります。また、受託者が原資料等の保存対象文書を治験終了後も保存する場合には、保存すべき文書と保存期間を当該契約書に記載する必要があります。

なお、夜間・救急時の対応の受け入れ(GCP第35条で規定する「緊急時に被験者に対して必要な措置を講ずること」への支援)につきましては、緊急対応受け入れ医療機関と実施医療機関との間で契約を締結することが望ましくはありますが、第39条の2に基づく契約には該当しないものと思われます。

見解改訂理由

GCPガイダンス(令和2年8月31日 薬生薬審発0831第15号)発出に伴い、参照する条項を変更しました。

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