ご質問にもありますように、GCPでは、被験者等が署名(又は記名なつ印)した同意書の原本を保存する必要がありますが、紙で作成された文書をスキャナにより読み取って作成した電子的な記録(以下、電子化文書)を元の紙の文書に代えて原本として保存することは、規制上認められています。ただし、e-文書法の関連規制(以下参照)にも明記されていますように、電子化文書の「真正性」「見読性」及び「保存性」等を確保することが、(元の紙の文書に代えて)当該電子化文書を原本とみなす際の必須条件となります。
したがいまして、「スキャナ等で紙文書を電子化する」ということだけでは紙原本の保存の要否を判断できるものではなく、当該電子化文書の「真正性」「見読性」及び「保存性」等がどのように確保されているか(診療録関連文書であれば関連規制2、GCP関連文書であれば関連規制3への対応状況)を実施医療機関に確認し、対応に問題が無い場合のみ紙原本の廃棄を了承する等、個々に判断する必要があるものと考えます。
(関連規制)
- 「厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令」(平成17年3月25日、厚生労働省令第44号)
- 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第4.1版」(平成22年2月、厚生労働省)
- 「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用について」(平成17年4月1日、薬食発第0401022号)
【見解改訂理由】
下記2点をより明確に示すために、一部表現を変更しました
- e-文書法及びその関連規制に従い、電子化文書が適切に作成されていれば、これを原本とみなすことが可能であること。
- ただし、必要な条件を満たすことができない場合には、元の紙の文書に代えて電子化文書を原本とすることは認められておらず、紙原本の保存が必要であること。
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