ある治験(並行群間比較試験)において、治験実施計画書には、原資料に被験者日誌が規定されております。被験者日誌に書かれた内容(治験薬または対象薬の投与の記録・使用時間・再使用の有無等)は、そのままCRF(紙媒体)へ転記するため、原資料であり、GCP41条2より、医療機関の長が保管責任者を決めて、医療機関で保管するものと考えております。
治験依頼者より、「被験者日誌・原本は、治験依頼者が回収し保管する。必要であれば回収前にコピーを保管してほしい。他の医療機関でもそのように対応してもらっており、問題は発生していないし、既に回収している日誌もある」と回答がありました。ちなみに、治験実施計画書には、次のように規定されております。
「原資料→被験者日誌(以下省略)、実施医療機関は、原資料(以下省略)等を含む治験に関わる記録は実施医療機関の長が定めた記録保管責任者が保管する。」
以上のように記載され、被験者日誌の原本を治験依頼者が回収・保管するという記載はありません。やはり、CRFの基となる資料=原資料は、実施医療機関が保存するものと考えますが、間違っているのでしょうか?
治験119番の2007-28には、QOL調査に関する被験者のアンケートについて、以下のような見解が記載されています。
「治験依頼者のみがそのデータの評価を行うためのものと考えられますので、治験依頼者、実施医療機関がそれぞれ原本と写しを保存する旨が予め治験実施計画書等で明記され、事前に実施医療機関と合意されていれば、治験依頼者が原本を保存することで問題ないともの考えます。」
QOL調査に関する被験者のアンケートの原資料と比べると、本治験の被験者日誌の記録内容は、より重要性が高く、治験薬と対象薬の投与状況により、医師は臨床判断がされるもので、診療の一部であると思います。しかし、上記のとおり、事前に治験依頼者と治験責任医師が合意していれば、治験依頼者が被験者日誌の原本を保存しても良いのでしょうか?
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