医薬品評価委員会 2022-12 予定手術のための入院に対するSAE報告の取扱い (その4)

関連分類:副作用等報告

初回公開年月:2022年09月

質問

公開いただいている治験 119 番 質問・見解集についてお伺いさせていただきます。
 「2008-03 予定手術のための入院に対するSAE報告の取扱い(その2)」で挙げられている例にて、ポリペクトミーは入院したという事実に至るまでは重篤と判断しなくてもよいとされておりますが、それを拡大解釈して「入院予定はどのような場合も予定である限り重篤と判断する必要がない」と考えるCRCが私の経験だけでかなりの数いらっしゃいます。
※その場合、例えば手術をしなければ明らかに生存、疾患予後に関わる事象であることが明らかな場合でも、手術室の空きやコロナの影響、患者の予定などで少し先の「予定」入院となった場合は重篤とされません。状況によっては治験が終わった(追跡期間終了)後に手術が予定された疾患は重篤ではない、といって治験として非重篤として終了すると判断されることもあります。
 また、同質問回答の製薬協見解では「治験依頼者としては緊急に報告すべき事象かどうか(治験中の悪化によるものかどうか等)を判断するため、できるだけ速やかに情報を収集する必要がある」とありますが、あくまでSAEではないが依頼されたから報告する、と判断されてしまう場合もあります。同じような理由で、もともと長期入院中である被験者に対しても、実際の入院の延長がないという理由で、治験で起こった事象は入院で行われるような措置/治療があったとしても重篤として扱わない、というCRC判断も経験があります。
薬機法273条では「・・入院又は入院期間の延長が必要とされる」とありますので、その前提はどんな状況でも変わらず「必要とされる」事象の場合には重篤と判断されるべきかと思いますが、いかがでしょうか。

 本件については、依頼者、CRC見解が相反することが非常に多く、大変困っておりますので、見解を治験119見解に追記いただけると大変助かります。なお、2008-03のポリペクトミーについては、ご見解通り、必要性/緊急性の観点から必ずしもその時点で重篤と判断しない事もあり得ると理解しております。
 

製薬協見解

「E2B(R3)実装ガイドに対応した市販後副作用等報告及び治験副作用等報告に関するQ&Aについて」(令和4年6月24日 厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課及び医薬安全対策課事務連絡)に以下の記載があることから、入院又は入院期間の延長が必要と判断された場合ではなく、入院又は入院期間の延長になった場合に重篤な有害事象に該当すると考えられます。

Q39:【市販後】施行規則第228条の20の「治療のために病院又は診療所への入院又は入院期間の延長が必要とされる症例」とは、どのように考えたらよいか?
A39:【市販後】ICHの規定(E2Dガイドライン参照)の「治療のための入院又は入院期間の延長が必要であるもの」が該当する。副作用治療のために入院又は入院期間が延長になった場合であり、副作用治療のために入院したが特に処置を行っていない場合(安静治療)も該当する。(以下略)

 一方、入院中である被験者において、新たに有害事象が発現した場合、元々予定されていた入院期間の延長がなかったとしても、当該事象に対して行われた措置/治療が本来入院にて実施するものであるか、他の重篤な有害事象の基準に該当しないか等を考慮し、重篤な有害事象の該当性を判断する必要があると考えます。
 治験実施計画書にて治験薬の特性に応じて重篤な有害事象の範囲を規定する場合や、追跡期間終了後の治験依頼者への報告を規定する場合もありますので、ご質問のような状況がある場合は、治験依頼者に情報を提供していただき、その取り扱いについて双方で協議、合意しておく必要があると考えます。
 

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