健康医療データの用語集

エビデンス

エビデンスとは、証拠、根拠、証言などを意味する英単語に由来する外来語です。医療の分野では特に、薬や治療方法、検査方法などについて、それが「効果がある」「効果がない」「適切」「不適切」などと判断する科学的証拠のことを指します。
薬や治療方法、検査方法などは、たくさんの患者さんに実際に使っていただいて、その効果や安全性を調べています。研究の結果、複数の研究が同様の結果を指し示した場合に、信頼に足る証拠と考えます。エビデンスは、そうした研究の積み重ねによって導きだされた科学的証拠のことです。

エビデンスとは英語の“evidence”が語源で、証拠・根拠・証言という意味です。医療分野に限った専門用語ではなく、さまざまな分野で使われている言葉です。医療分野では、「その治療法はエビデンスに基づいているのか」とか、「エビデンスレベルはどのぐらいなのか」などとして使われます。このような場面では、エビデンスはその治療法がよいといえる科学的証拠のことを言っています。
エビデンスは、臨床研究/臨床試験、治験を行うことによって創られます。薬や治療方法、検査方法などは、健康な人や患者さんを対象とした研究である臨床研究/臨床試験、治験を通して、効果や副作用がどの程度あるのか、あるいはないのか、既にある薬や方法に比べて優れているのか、安全なのか、調べられています。治験で広く世の中で使ってよいという結論が出た後も、実際の臨床現場には様々な条件・状態の患者さんがいますので、引き続いて様々な疑問に合わせて研究が行われています。
また、エビデンスにはレベルがあります。どのような研究であっても、すべての研究や試験が完璧な精度で実施できるわけではなく、様々な要因によって、一定のバイアスを含んでしまうことがあります。そうした精度・結果の信頼度を表す指標をエビデンスレベル(科学的根拠の信頼性の度合)と言います。例えば、精度の高い複数の研究の結果がすべて同様の結果であれば、その薬や治療方法、検査方法の効果あるいは安全性に関してのエビデンスのエビデンスレベルが高く、信頼できると考えられます。一方で、個別の患者さんの状況報告や、患者さんの具体的な治療データに基づかない個人の意見などはエビデンスレベルが低いと判断されています。エビデンスレベルは、診療ガイドラインにも記載されている治療の推奨度を決定するのに用いられています。

医療従事者、もしくは患者さんやその関係者などはこうして創られたエビデンスを使う立場に当たります。エビデンスを創る側と使う側をつなぐ役割を果たす組織の一つとして、コクランというネットワークがあります。コクランは英国に本部を置く国際的な非営利団体で、様々な疾患や治療法に関する研究結果を要約し、健康に関する信頼度の高いエビデンスを伝えています。

今日の医療では、エビデンスに基づく医療という意味であるエビデンス・ベースト・メディスン、EBM(evidence-based medicine)という考え方が重視されています。EBMは医者の経験による主観的判断に頼らず、最新の研究や臨床試験データによって確認された客観的事実を根拠にするという考え方です。

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