健康医療データの用語集

遺伝子/遺伝情報

「遺伝子」は私たち生き物の体を作るために必要な設計図です。私たちの体はたくさんの細胞から成り立っています。たとえば、筋肉は筋肉の細胞から、骨は骨の細胞からできています。血液や脳もすべて細胞からできています。これらの形も働きも異なるたくさんの細胞が互いに協調して働くには、正確な設計図が必要です。その設計図となるのが、「遺伝子」です。遺伝子は、生物の発育や発生、代謝、免疫反応などの生体機能に関与しており、遺伝的な特徴や疾患の発生にも関連しています。また、遺伝子は親から子へと受け継がれる形で伝達されるため、遺伝子は生物の進化や種の維持にも重要な役割を果たしています。
「遺伝情報」とは、遺伝現象によって子孫へまたは細胞から細胞へ伝えられる情報のことで、一般的には、DNAに書き込まれた塩基配列のことを指します(塩基配列については後述する)。ただし、病気の原因ともなりうる遺伝情報のひとつである遺伝子の異常などは、遺伝子/遺伝情報は必ずしも親から子に遺伝し、表にでるわけではないことには注意が必要です。

遺伝子は私たちの特徴を決定する情報を持っています。それぞれの遺伝子には特別な働きがあり、細胞内でタンパク質を作るための特定の指示を、料理本のレシピのように具体的に発しています。タンパク質とは体内のすべての物質の構成要素です。骨と歯、毛髪と耳たぶ、筋肉と血液はすべてタンパク質でできています。これらのタンパク質は、私たちの体が成長し、適切に機能し、健康を維持するのを助けます。このタンパク質によって、例えば私たちが両方とも茶色の目をもっていたり、そばかすを持っていたりします。
次に遺伝子がどこにあるかです。私たちの体は数十億個の細胞でできています。細胞とはすべての生物を構成する非常に小さな単位で、ほとんどの細胞に1つだけ核があります。この核の中に染色体があります。遺伝子はこの染色体と呼ばれるスパゲッティのような微小な構造上に存在しており、細胞一つに約25,000から35,000個の遺伝子が含まれています。そしてこれらの染色体と遺伝子はDNAでできており、アデニン (A)、チミン (T)、グアニン (G)、シトシン (C) という4つの塩基からなるDNA(デオキシリボ核酸)の配列で表されます。この4つの塩基の組み合わせによる連なりを塩基配列と呼びます。
遺伝子は2つの組になっています。両親は同じ遺伝子を 2つずつ持っていて、それぞれの親の遺伝子1つずつから子の遺伝子をつくります。髪の色や皮膚の色など、私たちの身体の特徴の多くは、子に受け継がれる遺伝子によって決まります。

DNAは上述のように4種類の塩基、A、T、G、C、を含んで構成されています。この塩基の並び順のことを塩基配列と言い、塩基配列によって作られるタンパク質が違ってきます。遺伝子はあくまで設計図であり、設計図をもとに作られたタンパク質はさらに細胞を作り、生命活動に必要な仕事をしてくれます。そして、遺伝情報は親から子へと受け継がれる形で伝達され、子孫の形質や機能に影響を与えます。ただし、病気の原因ともなりうる遺伝情報のひとつである遺伝子の異常などは、必ずしも親から子にそのまま遺伝し、表にでるわけではないことには注意が必要です。もし、ご自身の病気などが遺伝するかどうか心配になった際には、ご自身で判断せず専門の医療機関などにご相談ください。

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