健康医療データの用語集

データの一次利用・二次利用

データの利用用途は、本来の目的のために用いられる一次利用と、それ以外の目的に用いられる二次利用に大別されます。医療データの場合には、一般的にデータを本人の治療や健康管理など、取得した本来の目的で利用する一次利用と、感染症やがんなど病気の発生状況や要因の調査、新しい診断法・新薬の開発など、データを取得した本来の目的以外で利用する二次利用に分類されます。

一次利用には、医療機関でカルテ等に記録されたデータを自身の治療に利用することだけではなく、ウェアラブルデバイスなどで本人が取得したデータを自身の健康管理に利用することも含まれます。転院時の医療機関の間でのデータ共有も本人の治療を目的としているため一次利用となります。一方で、一次利用のために取得されたデータは、多くの方のデータを集約し、統計的な分析を行うことにより薬の副作用の検知や、新たな薬を開発するための重要な情報源にもなります。このような本来の目的以外での利用全般を二次利用と呼びます。ただし、場面に応じて一次利用の範囲が異なる場合があるため、留意が必要です。
具体的にはデータの一次利用・二次利用の例には以下のものがあります。

一次利用
  • 患者さん・利用者に対する医療・介護サービスの提供、医療・介護保険事務、入退院等の病棟管理などで利用すること
  • 患者さんへの医療の提供のため、他の医療機関等との連携を図ること(具体例:他の医療機関宛に発行した紹介状等を本人が持参する場合)
  • 患者さんへの医療の提供のため、外部の医師等の意見・助言を求めること
  • 患者さんへの医療の提供のため、他の医療機関等からの照会があった場合にこれに応じること
  • 患者さんへの医療の提供に際して、家族等への病状の説明を行うこと
二次利用
  • 健康増進法に基づく地域がん登録事業による国又は地方公共団体への利用
  • がん検診の精度管理のための地方公共団体又は地方公共団体から委託を受けた検診機関に対する精密検査結果の利用
  • 児童虐待事例についての関係機関との情報交換
  • 医療安全の向上のため、院内で発生した医療事故等に関する国、地方公共団体又は第三者機関等への情報提供のうち、氏名等の情報が含まれる場合
  • 医療機関等が以前治療を行った患者さんの個人データを、研究のために他の医療機関等に提供する場合
  • 医療機関が保有する患者さんの臨床症例に係る個人データを、有効な治療方法や薬剤が十分にない疾病等に関する疾病メカニズムの解明を目的とした研究のために製薬企業に提供する場合
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