治験実施チェックリスト 第5章 治験実施中に実施すること

(2)症例単位で実施すべき内容

(2)-1 適格な被験者への治験説明・同意取得

<1>一般的な治験(被験者)の場合

確認してください。

  • 被験者が他の治験へ参加していないことを確認する。
  • 被験者登録名簿(スクリーニング名簿)を作成している場合は、それに基づいて被験者を選定する。
  • 選定した被験者が治験実施計画書の選択基準に合致し、また除外基準に抵触していないことを確認する。
  • 選定した被験者の他の主治医(他科・他院)の受診状況を確認する。
  • 被験者が治験に参加することを他の主治医(他科・他院)に連絡することについて、被験者の同意を得る。
  • 他科・他院を受診している場合、他の主治医(他科・他院)に対して、以下の事項を行う。

    • 必要に応じて、治験参加の可否判断について確認する
    • 被験者が既に受けている治療内容(投与されている薬剤等)に関する情報を提供するよう依頼する
    • 治験参加に伴い治療内容が変更する可能性があることを説明し了承を得る
  • 選定した被験者に治験参加に関する事項を記載した説明文書及びその他の文書を用いて適切に説明する。
  • 選定した被験者に説明に用いた文書を交付する。
  • 選定した被験者からの治験参加に関する質疑に応じ、当該質問に十分に回答する。
  • 選定した被験者が治験に参加するかどうかを判断するための十分な時間を与える。
  • 選定した被験者より、文書による同意(記名押印又は署名、同意年月日記載)を取得する。
  • 説明した証として同意文書に記名押印又は署名し、同意取得日を記入する。
  • 同意(写)・説明文書を被験者に交付する。

文書による説明と同意の取得(省令GCP第50条第1、5項)参照

治験責任医師は、被験者に対してGCP第51条第1項の事項を記載した説明文書を用いて十分に説明し、治験への参加について被験者から自由意思による同意を文書により得なくてはなりません。なお、被験者から同意を得る前には、被験者が質問できる機会と治験に参加するか否かを判断するための十分な時間を与えなければなりません。

<2>同意能力を欠く者を対象とする場合

確認してください。

  • 選定した被験者が説明文書を理解できないと判断した場合は、被験者の代諾者を選定する。
  • 選定した代諾者が親権者、配偶者、後見人その他これらに準じる者で、被験者の最善の利益を図り得る者であることを確認する。
  • 被験者同様に、代諾者に対し治験参加のための説明を行い、文書による同意を取得する。
  • 代諾者が同意した場合、同意取得に関する記録とともに代諾者と被験者との関係を示した記録を残す。
  • 被験者の理解力に応じて説明を行い、可能であれば被験者本人からも文書による同意を取得する。

文書による説明と同意の取得(省令GCP第50条第2、3項)参照

当該治験の目的上、同意能力を欠く者(例えば、未成年者や重度の認知症患者)を対象とした治験を実施することがやむを得ない場合には、治験責任医師は代諾者(親権者、配偶者、後見人、その他これらに準じる者で被験者の最善の利益を図りうる者)に対して説明文書を用いて十分説明し、代諾者から治験への参加について文書による同意を得なければなりません。なお、可能であれば、被験者の理解力に応じて説明を行い、被験者からも文書による同意を得ることが望まれます。

<3>同意能力はあるが説明文書を読むことができない者を対象とする場合

確認してください。

  • 選定した被験者が説明文書を読むことができないと判断した場合は、立会人をおく。
  • 立会人は、当該治験に関与していない者であることを確認する。
  • 選定した被験者に同意取得に関する説明を行い、文書による同意を取得する。
  • 選定した被験者からの同意取得が適切に実施されたことを、立会人が同意文書へ記名押印又は署名と日付を記入することで確認する。

同意文書等への署名等(省令GCP第52条第3、4項)参照

口頭等により説明文書の内容を理解することはできるが、説明文書を読むことができない者(例えば、視力障害を有する者等)を被験者とする場合には,説明に際して公正な立会人が必要となります。この場合は、被験者に加え、立会人も同意文書へ記名押印又は署名しなければなりません。なお、治験責任医師や治験協力者等は説明をする側に位置する者であるため、公正な立会人としては適当ではありません。

<4>緊急状況下における救命的治験の場合

確認してください。

  • 治験審査委員会の承認文書に以下の内容が明記されていることを確認する。
    • 被験者及び代諾者の同意なしに治験に加わった者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図る方法
  • 緊急状況下における救命的治験を実施した場合は、治験実施の経過と結果について治験審査委員会に報告する。
  • 被験者(代諾者)に対して、速やかに当該治験について詳細を説明し、治験への継続参加の可否を確認し、継続する場合は文書による同意を取得する。

緊急状況下における救命的治験(省令GCP第55条)参照

治験責任医師は、緊急状況下での救命的治験であり、被験者から治験参加の同意が事前に得られない場合、次の5項目(1.緊急かつ明白な生命の危険がある、2.現存する治療方法では効果が不十分、3.当該治験薬により生命の危険を回避できる可能性が十分にある、4.予測される被験者への不利益が最小限である、5.代諾者と直ちに連絡がとれない)を全て満たす場合に限り、被験者を当該治験に参加させることができます。

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