会員会社の取り組み事例

抗菌薬の不適切な使用を背景として、薬剤耐性菌が世界的に増加する一方、新たな抗菌薬の開発は減少傾向にあり、国際社会でも大きな課題となっています。当ページでは、会員会社が取り組む「抗菌薬の適正使用推進」「抗菌薬開発」について紹介いたします。

抗菌薬の適正使用推進の取組み

塩野義製薬

塩野義製薬は、2010年に日本国内で感染症薬適正使用推進室を立上げ、その後、台湾・中国・シンガポールの子会社にも同様に推進室を設置しました。2018年にCSR推進部の適正使用推進室が、その業務を承継し、様々な啓発活動に取り組んでいます。
AMRを含めた感染症や感染予防・制御等の正しい知識の普及啓発・教育が必要不可欠であり、2019年には、子どもたちを感染症の脅威から守るため、NGOと連携し小学生対象の手洗い教室で予防の重要性を伝え、更に「こども感染症ナビ(Web)」を通じて広く一般の皆さまへの啓発も展開しています。
また、昨今注目されている大きな国際イベントなど人が集まる機会(マスギャザリング)の感染症対策に取り組み、産官学連携の市民啓発セミナーを開催するとともに「マスギャザリング感染症ナビ(Web)」を通じて広く一般の皆さまへの普及啓発に努めています。
さらに、医療従事者に向けて、ラジオNIKKEI「感染症TODAY」に協賛し、毎週最新の感染症トピックや教育的コンテンツを分かりやすく解説するプログラムをお届けしています。Web上で過去の番組の資料閲覧や聴講も可能です。

杏林製薬

キョーリン製薬グループでは、予防・診断・治療の感染関連事業モデルの構築を目指しています。グループ横断的な営業体制を確立するとともに、国際的なAMR問題への対応として、薬剤の適正使用への積極的な取り組みにより、医療関係者に対して貢献できるよう推進しています。

  1. 予防:医療機関等の感染制御に貢献する「ルビスタ」「ミルトン」
  2. 診断:迅速・適確・簡便に原因微生物を同定し、感染拡大防止や抗微生物薬の適正使用を実現するマイクロ流路型遺伝子定量装置「GeneSoc®」(研究用機器として発売)
  3. 治療:呼吸器・耳鼻感染症治療に貢献するキノロン系抗菌薬(一般名:ラスクフロキサシン)

抗菌薬開発の取組み

富士フイルム富山化学

現在、世界的に薬剤耐性菌が増加する中、耐性菌に対抗できる新規抗菌薬の開発は重要な課題であると考え、フルオロケトライド系抗菌薬「T-4288」(一般名:ソリスロマイシン)の開発に取り組んでいます。本剤は、新しいフルオロケトライド系抗菌薬であり、マクロライド系抗菌薬に耐性のある肺炎球菌や肺炎マイコプラズマに対して強い抗菌活性を示す薬剤です。富士フイルム富山化学は、2013年に「T-4288」の日本における開発、製造及び販売の独占的権利をCempra, Inc. (現Tetard, Inc.) より取得し、臨床試験を進めてきました。2019年4月に耳鼻咽喉科感染症の治療薬として製造販売承認申請を行い、呼吸器科領域の感染症患者を対象とした開発を継続中です。

住友ファーマ

薬剤耐性菌感染症に対する治療薬の創製を目指し、2017年より北里大学の大村智特別栄誉教授の創薬グループと共同研究に取り組んでいます。この共同研究は、2017年10月より10年間を予定するもので、国立研究開発法人医療研究開発機構(AMED)の「医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE : Cyclic Innovation for Clinical Empowerment)」に係る研究開発課題として採択されています。
大日本住友製薬は、アカデミア等との共同研究により感染症領域の創薬研究を加速し、グローバルヘルスへの貢献を目指しています。

塩野義製薬

「世界を感染症の脅威から守る」ことを顧客・社会に新たな価値を創出するために取り組む重要課題の1つとして掲げ、未だに治療法が確立していない感染症に対する新薬の創製に取り組んでいます。最も優先して対処すべき菌種の多くは、カルバペネム系抗菌薬に対する耐性菌であり、それらに対応できる薬剤を世界が求めています。シオノギが開発を進める多剤耐性グラム陰性菌感染症治療薬候補セフィデロコルは、WHOが緊急性が高く重大と位置付けている3種のカルバペネム耐性菌に対応できる貴重な薬剤として期待され、2019年11月に米国において承認され、欧州においても2020年4月に承認を取得しています。シオノギは、これからも世界のAMRに関する問題に対して、全力で取り組んでいきます。

杏林製薬

杏林製薬では、現在多剤耐性菌に有効な抗菌薬の創製を目指し、公益財団法人微生物化学研究会微生物化学研究所との共同研究を行っており、今後も継続して取り組んでいきます。

Meiji Seika ファルマ

薬剤耐性(AMR)対策はいまや世界規模で取り組む重要課題であり、わが国でも薬剤耐性菌による感染症に対する新たな予防・診断・治療法などの研究開発推進が謳われています。そうしたなかで、明治グループが開発した新規のβ-ラクタマーゼ阻害剤「OP0595」は、産学官連携による研究開発や創薬の革新を目的とした国家事業(医療研究開発革新基盤創成事業ーCiCLE)に採択されました。「OP0595」は、これまでのβ-ラクタマーゼ阻害剤にない作用を有する特徴を持ち、多剤耐性菌に対しても有効な治療法を提供できる薬剤として期待されています。すでに国内での臨床開発が開始され、海外も視野に入れた研究開発も精力的に進められています。

第一三共

2019年、第一三共はGlobal Antibiotic Research and Development Partnership(グローバル抗菌薬研究開発パートナーシップ、「GARDP」)が主導する「AMRスクリーニングコンソーシアム」に参加する契約を締結しました。本コンソーシアムへは日本企業として3番目の参画となり、各社の化合物ライブラリーを用いて抗菌活性を有する新規化合物の取得を目指しています。
また2019年、第一三共が創製した合成抗菌薬レボフロキサシンの薬剤感受性調査で集積された国内臨床分離株11万株を、国立感染症研究所に無償譲渡しました。これにより当研究所 薬剤耐性研究センターでの研究に広く活用されることが期待されます。

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