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患者さんが望むもの ―第2回電話聞き取り調査より―

日本製薬工業協会 くすり相談対応検討会情報提供のあり方小委員会委員長
竹村理夫

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 本日は、2008年1月に実施した第2回電話聞き取り調査の結果を踏まえ、「患者さんが望むもの」と題してお話させていただきます。
 その前に、第1回電話聞き取り調査の概要を簡単に紹介します。相談窓口に問い合わせて来た医療消費者の方の中で、電話聞き取り調査に同意していただけた方に対して、2005年1月に調査を行いました。会員企業79社にアンケートを依頼して、456件の回答をいただきました。なお、相談窓口への医療消費者からの総相談件数は3811件でした(アンケート回答率は12%)。質問項目としては、「相談窓口に電話をかけてこられる前に、医師・薬剤師に相談をされたかどうか」「相談窓口に電話をしてきた理由」「問い合わせの電話番号をどこで知ったか」「医療用医薬品の情報は主にどこから入手されているか」などです。
 第1回の調査結果をみて非常に驚いたことは、相談窓口に電話をされてこられた理由です。「くすりに関しては、製薬会社の方が詳しい情報を持っていると思ったから」という回答は私どもが考えていた以上にその割合が高く、私ども製薬企業のくすり相談に対する期待感が非常に大きいことが予想外でした。これを再確認するために、第2回の調査でも相談の動機を質問することにしました。また、相談窓口に対する具体的な要望や意見についても、調べることになりました。


患者さんの不安や心配などに配慮したい

 第2回電話聞き取り調査は、2008年1月7~31日に実施いたしました。会員企業70社に依頼し、58社から495件の回答をいただき、それを集計しました。同時期におけるくすり相談窓口への医療消費者からの総相談件数は8663件で(アンケート回答率は5.7%)、第1回と比べると約2.3倍に増えていました。
 これから調査結果の概要を紹介します。まず相談者の背景ですが、問い合わせの電話は本人(81.2%)からが圧倒的に多く、家族(13.3%)からと合わせると大半を占めていました。性別でみると、女性が56.2%とやや多いという結果でした。年代別にみると、60歳代と70歳代が多く、これらの年代では男女比率はほぼ半々でした。しかし、それより若い年代層になると女性が多くなり、くすり相談窓口の受付時間が昼間であることに関連しているとも考えられました。(図1)


図1 相談者の背景(年齢)

図1

解析対象:495名


 次は相談内容を紹介します。まず剤形については、内服薬と外用薬で87%を占めています。薬効分類別にみると、中枢神経系用薬(20%)が一番でした。これは薬の特徴を反映しているのかと思われます。以下、循環器官用薬(14%)、泌尿器生殖器官及び肛門用薬(9%)、ホルモン剤(7%)、その他の代謝性医薬品(6%)という順でした。(図2)


図2 相談内容(薬効分類)

図2

解析対象:495件


また、相談内容の項目として、1番多かったのは副作用で、効能・効果、用法・用量、相互作用と続きました(図3)。


図3 相談内容(項目)

図3

解析対象:566件(複数回答可)


 さて、私どもに問い合わせる前に医師あるいは薬剤師への相談の有無について質問したところ、「はい」と「いいえ」の回答がほぼ同数でした。(図4)


図4 医師・薬剤師に相談されましたか?

図4

解析対象:495件


また、相談の動機を尋ねてみると、事前に医師・薬剤師に相談された場合は、「さらに詳しく情報を入手したい」というのが最も多い回答でした。つまり、医師・薬剤師に相談された上で、その内容を確認したり、追加の質問をしたいようです。2番目に多かったのは、「医師・薬剤師の説明が不満足だった」というものです。一方、事前に医師・薬剤師に相談されていない場合は、「まず先に企業に聞こうと思った」「医師や薬剤師には聞きにくい」「くすりのことは企業の方が詳しいと思った」という回答が多くありました。(図5)


図5 相談の動機(全体)

図5

解析対象:489件(確認できなかったを除く)複数回答可


なお、「製薬会社の方が詳しい情報を持っていると思った」という回答については、あらかじめ医師・薬剤師に相談したけれども、その確認あるいは追加情報を求めるような相談内容もおそらく含まれているのではないかと考えられます。
 その他の回答をみてみると、「休診であったために電話しました」というのがありました。また、「不安」とか「心配」という表現が少なからず理由に挙げられていました。具体的には、「医師の説明があまり理解できなかった。家に帰って止血剤との表記を見て、心配になって電話した」とか、「副作用があったため薬が中断されました。医師にも聞いてみたがまだ不安があり、詳しく聞いてみたかった」といったものです。相談動機として、「不安・心配」や「副作用」があるわけですから、私どももそうした患者さんの不安や心配などに配慮しながら問い合わせを受ける必要があると実感しました。


「詳しく」と「わかりやすく」がキーワード

 相談窓口への要望、意見を聞いてみました。内訳をみると、1番多かったのは「情報の内容・質」で、以下、「利便性・システムなど」「対応方法」「情報の提供方法」と続きました。具体的な要望内容をみると、「詳しく説明してほしい」「医者に聞きにくいことを教えてほしい」「副作用などをもっと詳しく教えてほしい」「フリーダイアルにしてほしい」「電話番号を探しやすくしてほしい」などが挙げられていました(図6)。「詳しく」と「わかりやすく」というのがキーワードのようです。


図6 「くすり相談窓口」への要望はありますか?

図6

解析対象:621件(複数回答可)


 ここで、情報の内容・質でもう少し詳しくみると、「病気の相談にものってほしい」「他社のくすりのことも一緒に教えてほしい」「通り一遍ではない回答をしてほしい」「隠さずに話してほしい」「合うくすりを紹介してほしい」といった回答がありました(図7)。


図7 情報の内容・質(詳細)

図7

解析対象:315件(複数回答可)


これらの要望は、私どもが問い合わせを受けている中で非常に対応に苦慮するものです。ただ、患者さんの側としては、そういう希望を持っておられるということが改めてわかりました。
 また、「詳しく説明してほしい」との回答が1番多かったので、その相談動機をみてみました。多い順に紹介すると、「医師・薬剤師の説明に納得できない」「医師・薬剤師には聞きにくい」「医師・薬剤師からメーカーに聞けと言われた」「不安になって電話した」「医師は薬のことを知らない」「医師と薬剤師の言い分が異なる」「副作用があったため」「医療機関が休みだった」です。また、製薬企業の相談窓口に対する期待感も含まれていると思いますが、「企業の方が詳しい情報を持っていると思った」「薬の専門家から意見が聞きたかった」というような、私たちに好意的な意見もありました。このように、「詳しく説明してほしい」という要望の中にも、いろいろな背景があるということがうかがえました。
 一方、製薬企業に対する不満の意見として、「医師に相談してほしいは姑息。逃げ」「具体的には医師に相談してくださいとよく言われる。姿勢として仕方がないこともわかるが、もう少し踏込んで回答してもらいたい」などもありました。これらは、患者さんの本音だと思います。
 利便性・システムについての意見も多く寄せられました。例えば、「くすり相談窓口の連絡先自体を調べるのが大変」との意見がありました。実際に薬を飲む人の多くは高齢者なので、インターネット上で探し出すのは非常に難しいということだと思います。そのほか、「電話番号をインターネットで検索したが、くすり相談窓口を見つけられなかった」「病院の薬局などで告知してほしい」「もっと一般の人にくすり相談窓口が開かれていることを紹介してほしい」「在宅医療が進む中で、実際に製品について質問したいと思ったときに、どこに連絡すればよいのか。連絡先のPRができていない」といったご意見がありました。
 インターネットについて簡単にお話しします。くすりのことをインターネットで調べたことはありますかとの質問に対して、「ある」と答えた人は26%でした。その中でホームページへの意見として、「問い合せ先がはっきりわかるようにしてほしい」「もっと一般向けの情報を充実させてほしい」「どこに何が書いてあるかわかるようにしてほしい」という要望がありました。


患者さんの要望の実現に向けて

 2回の聞き取り調査の結果をまとめてみたいと思います。まず医療消費者の方からの相談件数が2.3倍に増えていましたが、これだけ増えたのはやはり企業のくすり相談窓口の認知度が上がり、利用していただけるようになったと理解しています。
 また、相談内容としては副作用に関連したものが多かったということと、問い合わせてくる一般消費者の中には不安な気持ちの方も多いことも、私たちは認識しておかなければならないでしょう。医師・薬剤師の説明に満足されていないようなケースも少なからずある一方で、製薬企業のくすり相談窓口は最新で詳しい情報を保有しているとの期待感を抱かれている方もいることがわかりました。相談窓口への要望として、最も多かったのは「詳しく説明してほしい」でした。いろいろな背景があり、様々な要因で詳しく説明してほしいという要望につながっていることがうかがえました。
 最後に利便性に関して、「フリーダイアルにしてほしい」「くすり相談窓口の連絡先がわかるようにしてほしい」という要望が患者さんから具体的にありましたので、私たちはそれを実現できるよう、今後もっと検討していかなければならないと考えています。

本内容については、「日本薬剤師会雑誌」2010年62巻3号に掲載されています。


日本製薬工業協会(製薬協)くすり相談対応検討会・医薬品情報提供のあり方検討小委員会
竹村 理夫、伊藤 賢治、飯島 芳正、仮屋 ゆう子、河野 有、
椎名 孝広、鈴木 一央、光岡 康広、南 典夫、山路 真也、
吉本 雄司、小林 英夫、佐藤 宏、福富 康仁、久保 信吾



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