医薬品評価委員会 2008-24 鉛筆で作成された治験に係る文書又は記録

関連分類:その他

初回公開年月:2009年01月
改訂公開年月:2021年12月

質問

GLPでは第28条第3号部分に「容易に消すことができない方法で記録」することが規定されています。GCPでは症例報告書、診療録等文書又は記録に係る筆記用具の規定がないと思われますが、実施医療機関保存の文書又は記録が鉛筆記載されている場合、GLPのように「容易に消すことが出来ない方法で記録」することを、治験依頼者として要請する必要がありますか。あるとすればその根拠として示すべきもの(法律等)は何でしょうか。


※:当該記載は化審法GLP(新規化学物質等に係る試験を実施する試験施設に関する基準について、平成23年3月31日 薬食発0331第8号、平成23・03・29製局第6号、環保企発第110331010号)にあります。また、医薬品GLP省令施行通知(医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令による改正後の医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準に関する省令の取扱いについて、平成20年6月13日薬食発第0613007号)の記の1(13)イ①に同様の記載があります。

製薬協見解

GCP第1条に規定されていますように、治験は科学的な質及び成績の信頼性を確保して実施しなければなりません。GCP第1条ガイダンス2(10)において「治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い、及び保存すること」と規定されています。成績の信頼性を確保する手段の一つとして、治験に関する記録の改竄や(故意又は過失による)消滅の危険を少しでも低減させるべく「容易に消すことが出来ない方法での記録」を要請しているものと思われます。

また、症例報告書については、GCP第47条第2項ガイダンス1で「症例報告書のいかなる変更又は修正にも日付及び氏名の記載がなされ、・・・(中略)・・・。また、変更又は修正は当初の記載内容を不明瞭にするものであってはならない(すなわち、監査証跡として保存すること。)。このことは文書及び電子データの変更又は修正の双方に適用される」とも規定されています。このような監査証跡を適切に保存する手段として、作成段階から「容易に消すことが出来ない方法での記録」を要請することは妥当なことと考えられます。

なお、診療録等についてはこれに加え、医師法、療養担当規則等の定めに従う必要があります。

見解改訂理由

GCPガイダンス(令和3年7月30日 薬生薬審発0730第3号)発出に伴い、見解文を一部変更しました。

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