医薬品評価委員会 2007-09 生活保護受給者の治験参加に対する治験審査委員会での審査

関連分類:その他

初回公開年月:2008年01月
改訂公開年月:2021年12月

質問

質問番号2007-07の回答につきまして、1点追加で伺いたいことがございます。

「社会的弱者への配慮については、主に治験審査委員会で審査することになります(GCP第32条第1項/第2項運用通知1)」について、あらかじめ生活保護被験者(社会的弱者)エントリー前に審査されていないと問題が生じるというものなのでしょうか。もし仮に当局の実地調査にて上記審査がなされていないにも関わらず、エントリーがされていた場合を追求されたとしても、福祉事務所及び治験責任医師、被験者ご本人との間で被験者が不利にならないよう調整が取れていれば問題ないような気がします。ただし、このような見解は一般的な見解としてふさわしくなく、治験119番事務局様としてご回答しにくいことは十分に承知いたしております。もしご回答いただければ(主観的なご判断でも構いません)ご教授願いたいところでございます。

製薬協見解

GCP第32条第1項/第2項ガイダンス1では、「治験審査委員会は、全ての被験者の人権の保護、安全の保持及び福祉の向上を図ること。社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払うこと」とあります。

したがって、治験薬の特性又は対象患者として、社会的弱者をエントリーする可能性のある治験又は実施医療機関においては、治験実施計画書にこのような被験者に対する倫理(人権)、安全性及び福祉に十分配慮した規定があることを確認しておく必要があると考えられます。

一方で、生活保護受給者(以下、「当該被験者」)については、負担軽減費を受け取ることによって、生活保護の適応除外又は保護費減額の事由になり得ます。また、保険外併用療養費制度は原則として適用されません(生活保護法第52条第2項)。そのため、当該被験者が治験に参加するにあたっては、生活保護制度への影響、費用の負担方法について、福祉事務所、治験実施医療機関及び被験者間で調整が必要になりますので、治験審査委員会は、当該被験者が治験に参加する前に上記のような調整が行われることを確認していれば、個々の治験又は被験者毎に、当該被験者の治験への参加の可否を審査する必要はないものと思われます。

見解改訂理由

GCPガイダンス(令和元年7月5日 薬生薬審査発0705第3号)発出に伴い、見解文を一部変更しました。

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