医薬品評価委員会 2020-42 同意プロセスの診療録等への記載について

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2021年02月

質問

患者と治験医師双方の署名後、その同意のプロセス(同意文書の日付と版、治験参加について十分な時間を患者に与えたか、質問に全部回答したか、同意文書のコピーを患者に提供したか等)を医師に記録としてカルテ等に記載して頂いておりますが、ある実施医療機関の治験責任医師がそれを拒否しています。その理由は以下の背景に記載させていただきました。

ICH-GCP及びJ-GCPにも同意プロセスの記録について詳細な記載がないため、ご意見を伺えますと幸いです。

背景

CRAがモニタリング中に同意プロセスの記録が十分でない(同意文書の版と同意文書を説明したという記録のみ)ことに気づき、治験責任医師に他のプロセス(治験参加について十分な時間を患者に与えたか、質問に全部回答したか、同意文書のコピーを患者に提供したか等)についてもカルテに記載していただくようにお願いしましたが、その医師は拒否しました。理由としては、他のプロセスは同意文書内に記載しているのでカルテに同じ事を記載する必要はないと信じているようです。弊社が委託していますCRO QAもNon-Complianceとして治験責任医師に伝えましたが、それでも上記理由で拒否されました。

質問

同意プロセスのカルテへの記録は同意文書内に記載があれば不要なのでしょうか?

製薬協見解

同意プロセスについてどの程度記録に残すかは、GCP省令やICH-GCPには明確には規定されていません。但し、ICH-GCP 2.10に規定されているとおり、すべての情報は、正確な報告、解釈および検証が可能なように記録する必要があります。そのため説明文書・同意文書に記載されている内容を重複して診療録等に記録する必要はありませんが、GCP第50条~55条に規定されている内容についてあとから第三者がみたときに検証できる詳細度で記録を残すことが大切です。特にスクリーニング検査等の治験に関する検査と同意日が同日である場合には、同意取得後に治験に関する検査が実施されていることを明確に示すことが重要です。

以上を踏まえて、実施医療機関においてどのような内容についてどの程度の記録を作成し保存しておくかについては、治験開始前に治験依頼者が治験責任医師と予め合意して運用するべきものと思われます。

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