医薬品評価委員会 2020-23 オンライン診療による同意取得

関連分類:同意の取得

初回公開年月:2020年09月

質問

「新型コロナウイルス感染症の影響下での医薬品、医療機器及び再生医療等製品の治験実施に係るQ&Aについて」(2020年5月26日更新)として、以下の回答が示されています。

Q9

「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成30年3月(令和元年7月一部改訂)厚生労働省)において、「治験や臨床試験等を経ていない安全性の確立されていない医療を提供するべきでない」とあるが、指針の当該記載によると、オンライン診療で治験を行ってはならないのか。(実施医療機関・治験依頼者)

A9

「治験において適切に行われるオンライン診療については、実施して差し支えない。厚生労働省医政局医事課に確認したところ、指針の当該記載は、あくまで一般的なオンライン診療における医療の安全性等の観点から、オンライン診療においては対面診療に比べて得られる患者の心身の状態に関する情報が限定されること等に鑑みてのものであり、治験は指針の対象として想定されていないとのことである。

上記Q&Aは、治験でのオンライン診療について許容されているものと解釈いたしますが、オンラインによる紙媒体を用いた同意取得の可否については明記されていません。電磁的同意取得ではなく、以下のような方法で紙媒体を用いてオンラインで説明・同意取得を行うことはGCP上、問題がありますでしょうか?

  • 事前に、被験者候補の方に、説明文書と同意文書を送付し、オンラインによる説明日時を調整する。
  • オンラインでの説明に当たって、何らかの方法で本人確認を行う。
  • オンラインで治験の説明、質疑応答を行う。
  • オンラインで、治験参加について同意が得られた場合、オンライン画面を通して、同意文書の日付・署名を確認する。
  • 同意文書を返送(又は、来院時に持参いただく)してもらう。
  • 治験責任医師等は、後日、同意文書に「オンライン説明日」及び「同意を確認した日」の日付を記入し、署名する。

製薬協見解

当該Q&Aでは、一般的に治験においてオンライン診療を実施することは可能であり、Q&A9-2では、新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の影響下で、治験実施計画書の規定及び通常の手順と異なる対応を取らざるを得ない場合にオンライン診療が適用可能であることについて述べています。また、Q&Aの記載にもありますように、一般的なオンライン診療における医療の安全性等の観点から、オンライン診療においては対面診療に比べて得られる患者の心身の状態に関する情報が限定されることの理解が医師に求められています。このようなことから、ご質問に記載されている同意取得方法は、COVID-19影響下でのオンライン診療を取り入れた治験における治験実施中の治験継続参加に係る同意取得の方法としては問題ないと思われます。しかし、COVID-19影響下での治験における治験実施前の治験参加に係る同意取得やCOVID-19収束後の通常下での治験で採用することが妥当かは、個々の治験において十分な検討が必要と思われます。

なお、GCP第52条第1項ガイダンス1の規定により、同意文書には被験者の他、治験責任医師等も日付と署名を記載する(つまり、署名した日を記載する)必要がありますが、それ以外に「オンライン説明日」や「同意を確認した日」等の日付の記載は必須ではありません。それよりも、このようなインフォームドコンセントのプロセスを診療録等に詳細に記録することの方が重要かと思われます。

過去の見解2019-58(電話と郵送による治験継続参加に関する同意取得)もご覧下さい。

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