医薬品評価委員会 2019-48 被験者との連絡記録の残し方

関連分類:記録の保存

初回公開年月:2019年12月

質問

当社(SMO)で受託している治験に参加いただく被験者には、仕事をしている世代等、比較的若い世代の患者さんが多くいらっしゃいます。時代の流れと共に、スマートフォンで被験者との情報交換をする頻度が大変高い状況です。また当社では全CRCへスマホを貸与しています。その中で、被験者との情報交換ツールが多様化しており、被験者からCRCへ提供される携帯電話(スマホ含む)を介した記録の残し方に苦慮しています。

具体的な手段として、ショートメッセージサービス(SMS)やコミュニケーションアプリの使用が挙げられます。仕事をしている被験者からは電話よりもメッセージ等での情報交換の方が利便性が高く、また情報提供もしていただきやすいという背景があります。現状、被験者からSMSやコミュニケーションアプリで情報提供があった場合、例えば「昨日から〇〇の薬を飲んでいます」というメッセージを入手すると、担当CRCは何等かの紙媒体(ワークシートやCRCメモ等、原資料とするもの)にその情報を記載し、医師に確認いただいた後に原資料として実施医療機関で保存する対応をとっています。

2019/12/04 被験者より以下の情報提供あり
「昨日から〇〇の薬を飲んでいる」 2019/12/04 CRC氏名

これらの対応において、以下の2点について見解をお聞かせ下さい。

  1. 1)
    そもそも、SMSやコミュニケーションアプリで受信したメッセージを原資料として保存することは可能でしょうか?例えば、受診したメール画面を印刷した場合、それはあくまでも写しであり原資料とは言えないため、現在当社で行っている方法での対応が望ましいと考えてよいのかどうか。
  2. 2)
    上記の場合、オリジナルの原データの所在を明確にするために、情報を入手した媒体(SMSやコミュニケーションアプリ)を記録に残す必要があるのかどうか。
2019/12/04 被験者よりSMSにて以下の情報提供あり
「昨日から〇〇の薬を飲んでいる」 2019/12/04 CRC氏名

上記2)のような手段で記録を残した場合、記録した紙媒体自体が2次資料と考えられ、コミュニケーションアプリの画面やデータを印刷し保存する必要があるのではないか、という点も疑問です。被験者とCRC間の情報交換内容には、被験者のプライバシーに関わる情報が含まれることもあり、できる限りデータの印刷は避けたいところです。一方、手段を記載しない場合、後から見て「どのように情報を入手したのかがわからない」ことになりかねません。日々、経緯がわかる記録を残すように指導している手前、手段も記載すべきなのか否か、判断しかねています。

これまでに監査やSDV等で治験依頼者からこれらに言及されたことはないのですが、より適切な対応方法についてご見解をお教え下さい。

製薬協見解

GCP第1条ガイダンス2(10)では、治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録することが、その媒体によらず全ての記録に求められています。ご質問の2点については、

  1. 1)
    現在行われている方法(CRCが紙媒体に情報を記載する)で差し支えないと考えますが、SMS、コミュニケーションアプリ等の電磁的記録の写し(印刷)をCertified Copyとし、原資料とすることも可能と考えます。なお、SMSやコミュニケーションアプリの履歴を治験の記録として取り扱う場合には、予め治験責任医師や被験者等、関係者間で認識を共有しておくことが必要と考えます。
  2. 2)
    CRCが紙媒体に情報を記載する場合、どのような方法で被験者から情報を収集したのか分かるように記録しておくことが望ましいと思われます。

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