医薬品評価委員会 2019-41 治験審査委員会の開催頻度

関連分類:治験審査委員会

初回公開年月:2019年12月

質問

今後、都合により自施設設置の治験審査委員会の開催頻度を毎月から隔月へ変更する予定です。治験審査委員会の頻度を減らすことについて事前にいくつかの治験依頼者やCROに意見を求めたところ、ある治験依頼者から次のようなコメントがありました。

  1. 1.
    直近の治験審査委員会までの期間が最長1ヶ月延びるので、被験者の安全性に関わる報告・審議が発生した場合の対応をどのように考えるか、実施医療機関・治験審査委員会の方針を示すのがベターだろう。
  2. 2.
    月1回以上の頻度で審査を行う治験審査委員会が主流ではある中、2ヶ月に1回の頻度で本実施医療機関はタイムリーに安全性情報を審査できていると言えるか?GCP適合性調査等で質問される可能性はあるのでは?

被験者の安全性確保の観点から、具体的にどのような対応を取るべきか、及びその根拠も合わせてご教示下さい。当方では「被験者の安全性に関わる事象」の主な例として下記を考えています。

  1. a.
    他の実施医療機関で重篤な有害事象が発生し、自施設の被験者の治験継続の意志に影響を及ぼす可能性がある場合
  2. b.
    自施設で発生した重篤な有害事象に関する報告

a.について、個々の被験者への情報提供や治験を希望する被験者の中止対応などは、従前と同様に治験審査委員会での審査結果を待たず速やかに実施すると思いますので、被験者への危険性を増大させることにはならないかと考えます。

b.について、可能な限り速やかに治験審査委員会にて治験継続の可否等も含めて審議されるのが原則的には望ましいと考えますが、その時期が1ヶ月後なら良くて2ヶ月後では遅いと判断される事があるかどうか、及びその根拠について知りたいと考えています。

当院治験審査委員会のSOPには「但し、院長から緊急に意見を求められた場合には、随時、治験審査委員会を開催することができる。」という記載があり、これにより最終的に上記1及び2を満たすことは担保されるかと思いますが、緊急開催での対応が極力必要ないように、必要に応じてSOPを整備しておきたいと考えております。

製薬協見解

GCPでは、治験審査委員会の開催頻度についての規定はありません。しかし、治験審査委員会の責務としてGCP第32条第3項に「…意見を聴かれた事項に係る事態の緊急性に応じて速やかに、文書により意見を述べなければならない」と規定されています。また、同条同項ガイダンス3では、「…事態の緊急性ゆえに速やかに意見を述べる事項について、あらかじめ、第28条第2項に規定する手順書により明確にしておくこと。」と記載されていることから、治験審査委員会の責務を果たせるよう手順書を整備し、運営することが必要と考えます。なお、試験の実施中に開催間隔を変更する場合は、変更前後での影響について十分に説明できるようにすべきと考えます。

また、開催間隔の変更によって緊急の審査が発生する可能性が高まることが想定されます。特に治験実施計画書の変更、被験者への説明文書の変更については治験審査委員会の承認がなければ当該変更を実行できないため、治験審査委員会での審査が遅れると被験者の人権、安全確保に影響を及ぼすおそれがあります。必要時に円滑に緊急の審査が開催できるよう、外部委員の出席調整を含む体制を整えておくことがさらに重要と考えます。

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