医薬品評価委員会 2016-22 治験終了後の治験情報の開示

関連分類:その他

初回公開年月:2016年08月

質問

最近、当院で実施した治験薬の承認状況など、治験終了後の結果について可能であれば情報提供してほしいとの要望を複数の協力部門より受けています。

治験を実施する際には、院内の様々な部門の協力は必要不可欠であり、このような治験結果をお知らせすることは、協力部門の動機付けになるものと考えます。そこで、今後継続的に協力部門への情報提供を行いたいと考え、情報提供の手段として、院内で発行しているニュースレターや、職員を対象とした講演等で、当院で治験を実施していた治験薬が製造販売承認された、又は、開発中止となった、といった情報提供を行うことを検討しています。

製造販売承認取得などは公知の情報と考えますが、一方で、治験契約の機密保持に関しては、契約期間によらず「甲は、本治験に関して乙から開示された資料その他の情報及び本治験の結果得られた情報については、乙の事前の文書による承諾なしに第三者に漏洩してはならない。」という記載があります。上記のように、(1)治験薬コード名、(2)当院で当該治験を実施していたこと、(3)治験結果に関する情報(製造販売承認取得、開発中止など)を含む情報を、主に院内職員を対象に情報開示を行うことは機密保持上問題ないでしょうか。このような情報提供を行う場合に、事前に治験依頼者の了解を得ておくなどの対応が必要でしょうか。ニュースレターや講演は職員全員を対象としているため、必ずしも治験に協力していない部門や職員にも情報提供されます。また、ニュースレターを院外の関連施設等に配布したり、講演会を院外の方が聴講する場合もあります。

製薬協見解

ご質問の契約の場合、治験実施医療機関と治験依頼者という組織間の契約であることから、治験に協力していない部門や職員を含め当該医療機関職員に対して治験に関する情報を開示することは、第三者への開示に該当せず差支えないと考えますが、機密保持のための措置を講じることが必要と思われます。

一方で、院外施設への資料配布や院外の者が聴講する講演の場合は、当該契約でいう第三者への情報開示に相当しますので、公知情報以外の開示はできず、それ以外の開示に際しては治験依頼者の事前の文書による承諾が必要です。

公知か否か判断が困難な情報もあると思われますので、情報の開示に際しては、事前に治験依頼者の了解を得ておくことが望ましいと考えます。

このページをシェア

TOP