医薬品評価委員会 2016-02 日本版ER/ES指針の治験への適用

関連分類:その他

初回公開年月:2016年06月

質問

日本版ER/ES指針(薬食発第0401022号平成17年4月1日厚生労働省医薬食品局長通知「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用について」)のパブリックコメントへの回答として、以下のような質問とそれに対する厚生労働省の考え方が回答されています。

Q&A No.185 適用範囲について

Q
治験を実施した医療機関の電子データ(電子カルテ、臨床検査Data等)は対象になるのか。
A
治験のために作成される資料(契約書、治験薬管理簿等)は対象となりますが、医療行為として作成される資料(電子カルテ等)は本指針の対象ではありません。

当院では健康成人を対象とした臨床薬理試験を実施しています。臨床薬理試験では基本的には紙カルテ運用をしていますが、臨床検査、X線写真など、電子カルテに結果が報告されるデータもあります。臨床検査などは電子カルテから検査結果を印刷し、印刷物を原資料としていましたが、ある治験依頼者より、電子カルテに報告されている検査結果が原資料となるのではないかとの指摘を受けました。対象が健康な方なので、診療目的ではなく治験のためのデータが電子カルテに報告されてきますが、臨床薬理試験のデータはER/ES指針の対象となるのか、製薬協のご見解を教えてください。

製薬協見解

日本版ER/ES指針は、医薬品等の承認申請等のために作成される資料及び原資料が対象範囲であり、これらに電磁的記録及び電子署名を用いる際に必要な要件を定めたものです。

一方、電子カルテは一般の診療に用いるために開発されたシステムであり、本来、医薬品の承認申請に関わる資料作成を目的としたシステムではありませんので、日本版ER/ES指針の対象ではありません。

しかしながら、その利用にあたっては「診療録等の電子媒体による保存について」(平成11年4月22日、厚生省健康政策局長・医薬安全局長・保険局長通知)、「診療録等の保存を行う場所について」(平成14年3月29日、厚生労働省医政局長・保険局長通知)およびこれらの通知に基づき作成された「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」(以下、本ガイドライン)等を遵守する必要があります。

本ガイドラインには、日本版ER/ES指針同様に、電磁的記録として扱う場合の要件である真正性・見読性・保存性について規定されており、電子カルテを治験に用い、その記録を原資料とする場合においても、本ガイドラインに従うことにより日本版ER/ES指針も遵守されるものと考えます。

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