医薬品評価委員会 2005-06 併用薬である市販品の副作用報告義務(その1)

関連分類:副作用等報告

初回公開年月:2006年05月
改訂公開年月:2021年12月

質問

ある症例で、治験薬とは因果関係のない、重篤でない有害事象が発生しました。

この症例は、A社のすでに市販されている医薬品を併用されていたため、後日、その市販薬と有害事象の因果関係を求める報告書の提出を求められました。(治験の症例報告書とは別物です)

これは、MRがすべき医薬品情報収集の一環とのことで、これをしないと規制当局から、お叱りを受け、治験依頼者のSOPにも書かれているとのことです。まだ入手していませんが、自社製品の報告すべき副作用であるなら、医療機関から厚労省へ報告するようお願い(依頼)され、報告する·しないを医療機関で判断するなら別ですが、当然のように報告の提出を求めるのは、SDVで知り得た情報の2次利用、言い換えれば他部門に漏洩しているということになると思うのですが。いかがでしょうか。

製薬協見解

ご質問の症例で併用されていた市販薬が、治験において被験薬の有効性及び安全性の評価のために使用する、治験実施計画書において規定された薬物(GCP第2条第9項の「治験使用薬」)には該当しない前提で回答します。

ご存知のように治験使用薬の副作用及び有害事象の情報収集はGCPに従って治験のモニターが収集します。

これに対し、市販品に関して、製造販売業者は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第68条の2の5第1項において、適正使用情報の収集に努め、同第68条の2の5第2項において、医療関係者は製造販売業者の情報収集に協力するよう努めるとされております。

通常、この収集業務はMRが担当しておりますが、MRに限ったものではありません。製薬企業に従事する者全員に課せられたものと理解しております。

治験のモニターがSDV中に発見したA社市販薬の副作用を自社の担当MRに連絡し、当該MRが自社市販薬の情報収集に当たることはSDVで知りえた情報の他部門への漏洩ではなく、製薬企業として適切に対応していると考えます。市販薬の副作用に関して情報を収集する場合も手順に定められた様式を使用する必要がありますので、CRFとは別に副作用の報告書の提出をお願いしたいと思います。

見解改訂理由

GCP省令の改正(令和2年8月31日厚生労働省令155号)に伴い、見解文を一部変更しました。

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