医薬品評価委員会 2012-44 原資料と原データの違い

関連分類:治験契約手続き

初回公開年月:2013年02月
改訂公開年月:2021年12月

質問

原資料と原データの違いについての質問です。「原資料とは、症例報告書の元となる文書・データ・記録」、「原データとは、治験の事実経過の再現に必要な全データ」と認識しています。

例えば、以下のようなケースでは、原資料・原データは何を指していますか?

血圧
自動測定器で看護師が測定、紙でのプリントアウトがないため、測定時、看護師がワークシートへ記載。
心電図
測定後、感熱紙で打ち出しあり。

上記の場合、「原データは、血圧の測定値、心電図のプリントアウトされたデータ」、「原資料は、ワークシートの血圧の記載箇所、心電図のプリントアウトされたもの及びそのコピー(certified copy)」という認識でよろしいのでしょうか?

例えば、心電図のデータをもとに判定結果のみを「正常」・「異常」とCRFに記載する場合などもあると思います。この際、「原資料は、心電図のデータをもとにした医師の判定結果を記載したワークシート、心電図のプリントアウト及びそのコピー(certified copy)」、「原データは、心電図のプリントアウトされたデータ」というような、解釈でしょうか?

製薬協見解

「原資料」は、GCP第2条ガイダンス6において次のように定義されています。

「原資料」とは、治験の事実経過に係る情報や症例報告書等の元となる文書、データ及び記録(例:病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投与記録、自動計器の記録データ、正確な複写であることが検証によって保証された複写物又は転写物、マイクロフィッシュ、写真のネガ、マイクロフィルム又は磁気媒体、エックス線写真、被験者ファイル及び治験に関与する薬剤部門、検査室、医療技術部門に保存されている記録等)をいう。

また、「原データ」は同条ガイダンス18(12)において次のように定義されています。

「原データ」とは、治験における臨床所見、観察その他の活動に関する元の記録及びその保証付き複写に記録されているあらゆる情報であって、治験の事実経過の再現と評価に必要なものをいう。「原データ」は原資料(元の記録又はその保証付き複写)に含まれる。

つまり、治験の事実経過の再現と評価に必要なデータ(情報)を「原データ」、原データが記録されている資料(文書、記憶媒体)を「原資料」と呼んでいます。また、原データは検査結果だけでなく、検査結果に対する治験責任医師等の評価(判定結果)も含まれます。

したがいまして、ご質問のケースにおきましては、原データは「心電図用紙に印字された情報及び治験責任医師等の当該心電図に対する判定結果」や「看護師が読み取った血圧測定値」であり、原資料は「心電図用紙(プリントアウト)及び心電図判定結果が記録されたワークシート」や「看護師が血圧測定値を書き込んだワークシート」となります。

見解改訂理由

GCPガイダンス(令和2年8月31日 薬生薬審発0831第15号)発出に伴い、見解文を一部変更しました。

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