医薬品評価委員会 2012-12 治験薬を利用した検査の実施

関連分類:その他

初回公開年月:2012年06月

質問

ある治験のある医療機関にて治験薬を被験者投与以外に、DLST※にも使用していました。治験中にアレルギー反応を示した被験者からDLST用に採血し、治験薬を添加して当該事象の因果関係を特定するための検査です。ただし、あくまで今後の被験者に対する治療方針を決めるための検査であり、研究用のための検査ではありません。

上記、治験薬の使用方法については特に治験実施計画書、手順書等には定めていません。また、治験薬は海外で製造されているため、検査用として再度輸入することも現実的に難しい状況です。

質問1

このようなケースの場合、被験者への治療方針の検討とはいえ、治験実施計画書で規定していない「治験薬の検査への使用」は適切ではないか?適切ではないとすると、どの部分が適切ではなく、どうすべきであったか?

質問2

DLST用に被験者から採血をする場合、検査の実施に対する被験者からの同意は必要と考えるか?また必要と考える場合は、記録として残されていることが必要不可欠か?

  • DLST:Drug-induced Lymphocyte Stimulation test(薬剤誘発性リンパ球刺激試験)

製薬協見解

質問1

GCP第1条ガイダンス2(6)において、「治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施すること。」と規定されています。つまり、治験薬は治験実施計画書で規定されている範囲内でのみ使用されることが前提となっており、それ以外の目的で使用することはできません。

一方、GCP第45条第3項/第4項ガイダンス2においては、「実施医療機関の長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証すること。」との記載があります。

有害事象の因果関係判定や治療方針の決定のために、治験責任医師又は治験分担医師が、自身の判断により追加の検査を行うことには一般的に問題はありません。しかしながら、DSLTの実施は治験実施計画書に規定されていない目的で治験薬を使用することになりますので、当該検査の必要性及び妥当性について十分に検討したうえで実施の可否を判断し、事前に治験依頼者と協議、合意する必要があると考えます。

なお、DLSTが、被験者の緊急の危険を回避するために医療上やむを得ず、治験依頼者との合意前に実施されたのであれば、GCP第46条第1項に基づき、当該行為とその理由を記載した文書を直ちに治験依頼者及び実施医療機関の長に提出する必要があります。

質問2

GCP第45条第3項/第4項ガイダンス2において、「治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えること。」との規定があります。DLST用の採血は被験者の安全性確保のためのものですので、上記規定に基づき被験者に当該検査が必要となったことを伝え、了解を得ていれば、特に文書で同意を得る必要はないものと考えますが、最終的には治験責任医師の判断及び当該実施医療機関の取り決めに従うことになります。

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